2025年6月9日 Miki COLUMN

『ちょっと得するNY20年主婦のつぶやき』(6)見えないリスクが潜んでいる!? シードオイルとの正しい付き合い方

写真はイメージ(photo: Unsplash / Rithwick.pr)

人類が火を発見し、食べ物を調理し始めて以来、 油(オイル)は常にキッチンの中心的な存在でした。オイルは、加熱媒体としての役割、食感と風味への影響、栄養吸収の促進、調理の安定性、保存性の向上など、料理には欠かせない存在ですよね。健康への関心が高まっている今の時代、クッキングオイルもまた、成分や特性、そして適した調理法を理解して選ぶことが重要になっています。

今日は昔から見慣れてるシードオイルについて話してみます。

写真はイメージ(photo: Unsplash / Rithwick.pr)

シードオイル(種子油)とは?

その名の通り、植物の種子から抽出されたオイルのことを指します。一般的に、精製されて透明でクセが少ないオイルが多いですが、種類によって風味や栄養価に差があります。

主なシードオイルの種類と特徴

オイル名特徴主な脂肪酸発煙点(目安)
グレープシードオイルサラッとしていて軽い、加熱調理向きオメガ6系(リノール酸)約215°C(419°F)
ヒマワリ油軽い風味、揚げ物や炒め物向きオメガ6系約230°C(446°F)
キャノーラ油(菜種油)クセが少なく万能、炒め物・焼き物・サラダ向きオメガ9系、オメガ3系約205°C(401°F)
コーン油揚げ物に使いやすい、コストパフォーマンスが高いオメガ6系約230°C(446°F)
ごま油強い香り、アジアン料理に最適オメガ6系、オメガ9系約210°C(410°F)
パンプキンシードオイル風味が濃厚、ドレッシングや仕上げに向くオメガ6系、オメガ9系低温向け
アマニ油(フラックスシードオイル)栄養価が高いが加熱不可、サラダ向けオメガ3系(α-リノレン酸)加熱不可
えごま油アマニ油に似てオメガ3が豊富、非加熱用オメガ3系加熱不可

発煙点とは? 

料理中に油から煙が激しくでること、ありますよね。これは「発煙点という油の限界温度を超えてしまっているサインです。この状態では、油が急速に酸化する、発がん性のある煙が発生する、長期的に吸い込むと肺がんのリスクが高まると言われています。酸化した油には、アルデヒド、遊離脂肪酸、過酸化物が含まれていて、これらを含む油を繰り返し摂取すると、体内で炎症が起きやすくなったり、活性酸素が増えて、細胞やDNAがダメージを受け、病気になるリスクが高まるとも言われています。

*オメガ3・オメガ6・オメガ9とは?

これは脂肪酸の種類を表す言葉です。脂肪酸は体にとって必要な栄養素で、オイルの質”を決める大事な成分です。

種類特徴代表食品
オメガ3炎症を抑える、必須脂肪酸魚、亜麻仁油、チアシード
オメガ6皮膚・免疫サポート、必須脂肪酸コーン油、大豆油
オメガ9コレステロール改善、合成可能オリーブオイル、アボカド
トレーダージョーズのオイルセクション

シードオイルの健康への影響、なぜ注意が必要?

オメガ6脂肪酸の摂りすぎ

シードオイルには、オメガ6脂肪酸が豊富に含まれていて、適度なオメガ6脂肪酸の接種は、炎症や病気のリスクを低下させるという研究結果があります。

ただ、問題は現代人はこれを過剰に摂取しがちなことで、過剰摂取は逆に炎症や生活習慣病のリスクを高める可能性があります。理想的なオメガ6:オメガ3の比率は 4:1以下ですが、種子油中心の食生活では20:1以上になることも。

高温処理や精製の問題

多くの種子油は、製造段階で、高温圧搾化学溶剤(ヘキサン)使用脱臭・脱色処理などを受けており、トランス脂肪酸や酸化副産物が発生することがあります。

シードオイルが「体に悪い」と見なされがちな理由は

「発煙点が高いため、シードオイルは調理に安全だ」と言われることがありますが、発煙点が高くても「安全」とは限りません。シードオイルも、高温で長時間加熱するほど、極性化合物の生成が増加し、酸化安定性は低下します。こうした条件に該当するのが、例えば外食でのフライドチキンなどです。さらに、加工食品や外食の場合、長時間加熱の課題だけでなく、砂糖やナトリウムなど栄養の過剰摂取にも繋がることに注意が必要です。

家で使っている, オリーブオイルとアボカドオイル

健康を考えたオイルの選び方

では、シードオイル以外で、料理にあうオイルはなにがあるのでしょうか?

オイル名抽出部位特徴
オリーブオイル果肉(実)発煙店が高く、加熱調理向き。オメガ9脂肪酸が豊富、風味が良く、心臓に優しい
アボカドオイル果肉(実)発煙点が高く、加熱調理向き。ビタミンEが豊富
ココナッツオイル果肉(実)中温調理に適する。甘い香りで、焼き菓子などに人気。

過熱しないなら、エクストラバージンオリーブオイル、亜麻仁油、えごま油などもいいですね。

オイルは、料理の風味だけでなく、体の健康を左右する重要な要素です。
ぜひ、目的や調理法に合わせて「オイルの質」にもこだわって、健康的な食生活を目指しましょう。

【今日のひとこと】

正しいことを言うよりも、「正しく伝える」ことのほうが難しいと言います。

事実や正論を口にするのは簡単でも、相手の気持ちを考えて、伝え方を選ぶのはもっと難しい。
だからこそ、「何を言うか」だけでなく「どのように言うか」が大切だと思います。

オイルも何を使うかより、どう使うかが重要だと思います。 使い方ひとつで、安全性も、料理の仕上がりも、全く変わって来ますよね。「選ぶ」こと以上に、正しく「使いこなす」意識が大事なんですね。

RELATED POST