ニューヨーク州上院は9日、末期患者が自らの意思で人生の最期を選べる「医療的援助による死」を認める法案を35対27の投票で可決した。同法案は既に下院を通過しており、ホークル州知事が署名し発効すれば、全米で12番目の導入州となる。ニューヨークタイムズが同日、伝えた。

この制度は、2人の医師によって余命6カ月未満と診断されたニューヨーク州民は、致死量の薬物の投与を請求できるというもの。請求には、患者の死亡時に相続権のない2人の成人の立会いが必要となる。医師が必要と判断した場合、患者を精神科の検査に紹介できる。
現在、11の州とワシントンD.C.が「医療による死の援助」を認める法律を可決している。いくつかのヨーロッパ諸国とカナダでも適用されており、カナダは最近、対象を「治癒不能な慢性疾患」や障害を抱える人々に拡大する基準を緩和している。
法案の共同提出者であるブラッド・ホイルマン=シガル州上院議員(民主)は 「これは自由に関する問題だ。自分の体をコントロールする自由を行使する問題だ」と歓迎。10年前に同法案を初めて提出したエイミー・ポーリン下院議員(民主)も「痛みからの解放と家族の心の安らぎが目的」と述べた。肺がんだった同議員の姉は、激しい痛みに苦しみながら亡くなった。
法案は、ニューヨーク州の弁護士協会、精神医学会、医師会、ニューヨーク市民自由連合、障害者の権利擁護団体などの他、ユダヤ教やキリスト教系の宗教団体からも支持を獲得。一方で、ニューヨーク州カトリック会議は強く反対している。同会議の広報担当、ロバート・ベラフィオーレ氏は、この法案は、末期患者や障害者だけでなく、より広く生命の尊重を損なう「パンドラの箱」だと批判。他の関係者からは、この立法が将来的に拡大され、既存の医療格差を悪化させ、有色人種コミュニティーや慢性疾患・障害を抱える人々への悪影響を招く可能性があるとの指摘もある。非営利団体、障害者の権利センターは、「利益追求型の医療システムにおいて、安楽死はコスト削減の致命的な手段だ」と非難している。
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