ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は28歳、昨年の夏に憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。
〜 ニューヨーカーは暑さも乗り切る(割り切る) 〜
ニューヨークで生きていくには「割り切ること」が結構大事になってくると感じていて、気持ち良いくらいに「割り切っている」ニューヨーカーには少し憧れたりもする。それは自分に関係のないことだわ、時間のムダだわと言わんばかりに、毎日障害物だらけの道を颯爽とかき分けて進んでゆく。

今は夏、しかもすごく暑い方の夏。そんな彼らは今日も「割り切りながら」生きているわけだが、本当にすごいな、と思うのが地下鉄でのサバイバル術だ。ニューヨークに来たことがある人はご存知だと思うが、ニューヨークの地下鉄ホームや連絡通路には一切エアーコンディショナーがないので、本当に暑い。
おかげで夏は蒸し風呂、スチームサウナのような状態になるのだが、ニューヨーカーを見ていると不思議と「もう耐えられへん・・・」という顔をしている人がいない。なぜかみな “涼しそう” とまではいかないが、何不自由ない顔でいつ来るか分からない電車を待っている。
ホームを見渡しても、「あっつ〜」と言いながらハンディ扇風機やありったけの紙切れをパタパタさせているのは観光客らしき人たちばかり。筆者が汗だくになりながらホームに着いて、そこがありえないくらい熱されていようが、ニューヨーカーは顔色変えずに過ごしている。そんな時はいつも「ねぇ、暑ないの?」と聞きたくなる。
彼らはなんて答えるのだろうか?「暑いけど、暑いと思ったら負け」と返ってくるのだろうか。それとも「ニューヨークの生活に比べたら、こんな暑さくらいどうってことない」と言うのだろうか。どうやったらニューヨーカーに近づける? 数々のマインドセットをこのコラムでも何度か書いてきたが、「ホームの暑さに耐えられるか否か」も項目に加えた方が良さそうだ。
額が汗ばんでも、本のページをめくる速度を変えないニューヨーカーになりたい。でもまだきっとこの夏は、鬼の形相をしながら、日本のフランフランで買ったハンディ扇風機を片手に「ほんまに暑いわ!」と言ってるだろうな。
筆者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー
兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。
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