2025年7月23日 DAILY CONTENTS NEWS 『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』 COLUMN

連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』Vol24. 日本人らしさとは

ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は28歳、昨年の夏に憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。

〜 「やっぱり日本、さいこう」〜

このコラムが始まって約半年、そしてこの街に引っ越してきて先日ちょうど1年が経った。日本にいた時とは比べものにならないスピードで人生が進んでゆき、これまでの4倍くらいのスピードで日々 “生き急ぐ” かのように、とにかく色んな人に出会い、モノを見て感じて、そして自分の身体に吸収してきた。

そのおかげで、この1年を振り返ると濃厚な日々がビビットに刻まれており、これからのニューヨーク生活も楽しみで仕方がない。そんなニューヨーク1年記念日、私は何をしていたかというと、映画館で「となりのトトロ」を観ていた。しかも英語吹替ではなく、わざわざ日本語音声を探して。

そう、こちらに来てから1年が経ち、ようやく「やっぱり日本、さいこう」と思えるようになったのだ。筆者は幼少期から、ジブリやセーラームーン、プリキュアには触れて育ってきたが、断然アメリカ産のエンタメの方が好きで、小学生の時にアイポッドを買ってもらってまず1番に入れたのはキング・オブ・ポップ=マイケル・ジャクソンのアルバム。それからも日本にはいながらも、アメリカのコンテンツ、食べ物、ファッション、とにかく目に、口にするものは “アメリカ生まれ” を好んだ。

そんなアメリカかぶれが、夢のニューヨーク生活を始めることとなったのだが・・・いざこちらで暮らしてみると、意識せずとも「日本との繋がり」を求めるようになり、日本にいる時は好んで飲まなかった日本酒が面白く感じ始め、ストランドブックストア(ニューヨークにある有名な老舗本屋)では日本の著者を見つけると、猛烈に見知らぬお姉さんに自慢したくなったり、ブルックリンにガシャポンコーナーができたときなんか、もうめちゃくちゃ嬉しかった。

そのほかにも、日本語で変なタトューを入れている人を見ると興奮するし、カフェでのメニューに抹茶ラテがあるとつい注文してしまう(半分以上がハズレ)。この2カ月間で映画館で観た作品といえば、「おおかみこどもの雨と雪」「Shall we ダンス?」極め付けには「となりのトトロ」だ。

日本にいる時にはそこまで感じられなかった、日本の素晴らしさが「ニューヨーク・フィルター」を通すことによってどんどんと入ってきて、また “母国のエッセンス” を取り込むことで、自然と日本人としての個のバランスを取っているのかなとも思う。たまに「日本人らしい/らしくないね」みたいなことを問われるが、これは自発的に意識する必要がないことなのだと思った。きっと、「らしい方向」に勝手に持っていってくれるから。人間って、よくできているな。

Happy Anniversary to myself!

筆者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー

兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。

過去のエピソード

Vol.1 ニューヨーカーは、なぜブックカバーを使わない

Vol.2 居酒屋デートの概念がない街

Vol.3 遅延だらけのサブウェイを乗りこなすコツ

Vol.4 街にあふれるレディファーストな男性たち

Vol.5 アメリカには存在しない便利アイテム

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