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65歳以上の高齢者の約10%が患うとされるアルツハイマー病。脳内のリチウムの欠乏が関与するとの論文が発表された。リチウムは小魚や貝類、海藻などに多く含まれている。今後はリチウムの生理学効果が見直されることになるだろう。ネイチャーが6日、伝えた。

日本食の強みが注目されるかも(7日、クイーンズ / photo: Keiko Tsuyama)
アルツハイマー病は加齢とともに「アミロイドβ(ベータ)」や「タウ」というタンパク質が脳に異常に蓄積して発症する。蓄積が脳細胞を死滅させるからだ。ハーバード大学の研究者、リビュー・アーロン氏らは、アルツハイマー病患者とそうでない高齢者の脳内のミネラル27種類のレベルを比較。アルツハイマー病患者や中程度の認知機能障害者の脳はリチウムが大きく欠乏していることを突き止めた。
リチウムを使ったリチウム塩は現在、双極性障害の治療に使われている。その種類も複数あるが、アーロン氏らは、オロチン酸リチウムをアルツハイマー病モデルマウスに与えたところ、アミロイドβやタウの蓄積や、認知機能の障害を防ぐことができたと報告している。さらに、高齢化に伴う学習や記憶の衰退に関連する脳細胞組織の復元もできたという。
これにより今まであまり顧みられていなかったリチウムに生理学的効果が認められることが明らかに。
FDA(米食品医療品局)はアミロイドβを攻撃し、アルツハイマー病の進行を遅らせる治療薬を承認している。ただ、副作用もある。今後はアルツハイマー病の治療にリチウム塩を使用する可能性が出てきた。
さらに、日頃からリチウム欠乏に陥らないようにすることも大切だ。リチウムは小魚、貝類、海藻などに多く含まれている。カルシウムのような必須ミネラルではないが、アルツハイマー病との関連を明確にしたこの論文のおかげで、見直されることになるだろう。
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