トランプ氏の再選にショックを受けた民主党はこの半年、目立った動きに欠けたが、この夏、ようやく目を覚まし始めた。鋭い発言が繰り出され、集会も増え、草の根にリーチしようとしている。支援者も即時に応え、寄付金が過去にないほど集まった。一方で、日本の政治家はなぜ日常的に集会をしないのか疑問だ。選挙が終われば、政治家と有権者の関係は、アメリカに比べると驚くほど希薄だ。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、2028年の大統領選挙で有力候補とされる。8月14日、異例の記者会見を開いた。トランプ大統領が下院の多数派を維持するため、テキサス州で選挙区の区割りを共和党に有利に変更しようとしている。ニューサム氏はこれに対し、カリフォルニア州でも選挙区の区割りを民主党有利に変更する「逆襲」の計画を発表した。
テキサス州では、区割り変更の採決を阻止するため、民主党議員数十人が、州外へ逃亡まで踏み切った。
バーニー・サンダース上院議員(83)は2月から「独裁政治と戦うツアー」という全国行脚を続けている。特に8月上旬からの彼のXを見ると、身体障害者の団体、看護士、労働組合員のデモや集会に各地で登場。さらに週に3〜4回の割合で、公園や体育館などに数千人を集めてタウンホール・ミーティングを、時には日に2カ所もこなしている。
休会中だが、「夏休み」モードは全くない。デンバーでは3月に34000人、ロサンゼルスでは4月に36000人を集め、選挙がない年として最高の参加人数を得た。
彼のメッセージは、一握りの富裕層による寡占を支援するトランプ政権を繰り返し批判している。「トランプの戦略は、人種や宗教、出生地、性的嗜好を理由に私たちを分断し、独裁者・富裕層を守ることだ」「ウォール街の幹部が1769㌦の時給を得ているのに対し、私たちの子供のケアをしてくれている職業は14.6㌦とはクレージーだ。この国の子どもを守る職業にもっといい給料を!」
サンダース氏と共に集会に登場しているのが、アレクサンドリア・オカシオ−コルテス下院議員。有権者もツアーを支援している。彼女は今年前半、ツアーを通した草の根的な寄付金を集め、金額は民主党下院キャンペーン委員会(DCCC)のそれを超えた。
ニューヨーク市では、秋の市長選挙で最有力視されるイスラム教徒で州下院議員、ゾーラン・マムダニ氏が注目を集める。富裕層や大企業への課税強化などが若い人の強力な支持を得る。
アメリカの議員は年間を通して、週末に地元に戻るとタウンホール・ミーティングや記者会見を開き、有権者や記者からの質問や批判に怯むことなく応じる。民主党は草の根的サポートを確立するため、それをさらに強化している。日本の多くの議員は、選挙で「お願い」をしたあと、なぜ集会を開かないのか。アメリカで活発な議員と有権者の交流を見るにつけ、そのドラマに羨望してしまう。(津山恵子)

津山恵子 プロフィール
ジャーナリスト。専修大文学部「ウェブジャーナリズム論」講師。ザッカーバーグ・フェイスブックCEOやマララさんに単独インタビューし、アエラなどに執筆。共編著に「現代アメリカ政治とメディア」。長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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