2025年10月27日 NEWS DAILY CONTENTS

「赤ちゃんにピーナッツを」アレルギー予防の新常識、発症率40%以上減少

2015年の研究報告「乳児期からのピーナッツ製品摂取が重篤なアレルギー発症を予防する」から10年。実際の医療現場でも効果が確認されているにもかかわらず、実際の普及は遅れている。PBSニュースが20日、伝えた。

写真はイメージ(photo: Unsplash / Towfiqu barbhuiya)

イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンのギディオン・ラック教授による15年の研究では、乳児期からピーナッツ製品を摂取させると、将来的なアレルギー発症リスクが80%以上低下し、その効果は7割の子どもで思春期まで持続することが示された。ピーナッツアレルギーは、体の免疫系がピーナッツに含まれるたんぱく質を誤って有害と判断し、じんましんや呼吸器症状、ときには命を脅かすアナフィラキシーなどを引き起こす。

研究報告を受けアメリカでは同年、それまでの「3歳までピーナッツ摂取を控える」との指針を撤回し、生後4カ月からのピーナッツ導入を推奨する新たな指針を策定。追跡調査の結果、0〜3歳のピーナッツアレルギー発症率は27%以上減少し、17年の対象拡大後は、40%以上減った。15年以降、約6万人の子どもが食物アレルギーの発症を回避し、このうち4万人はピーナッツアレルギーから免れたと推定されるが、17年改訂の指針に従っていると報告した小児科医は約29%、アレルギー専門医でも65%に留まった。

追跡調査を実施し、医学誌「ペディアトリクス」に20日掲載された研究の著者で、フィラデルフィア小児病院のアレルギー専門医兼研究者のデイビッド・ヒル博士は、事前スクリーニングや検査なしに生後4~6カ月で、少量のピーナッツバターや、牛乳ヨーグルト、豆乳ヨーグルト、ナッツバターなどの主要な食物アレルゲンを導入するよう推奨、保護者は疑問点について小児科医に相談すべきとしている。

アメリカでは依然として、約8%の子どもが何らかの食物アレルギーを、2%超がピーナッツアレルギーをもつ。

国立衛生研究所(NIH)が2017年に発表した指針

◎全ての乳児は、発育の準備ができているかどうかを確認するために、ピーナッツを含む食品の前に他の固形食品を試すこと。

◎高リスクの乳児には、ピーナッツを含む食品を4〜6カ月齢から導入すべきである。初回の摂取を医療機関で行うべきか、保護者が反応を観察しながら自宅で試してもよいかを判断するため、検診後に確認すること。

◎中等度リスクの乳児は軽度の湿疹があり、通常は市販のクリームで治療する。生後6カ月頃から自宅でピーナッツベースの食品を与え始めるとよい。

◎大半の乳児は低リスクであり、保護者は他の固形食と共にピーナッツを含む食品を導入できる。通常、生後6カ月頃が目安。

◎耐性を構築するには、ピーナッツを含む食品を通常の食事に取り入れる必要がある。週に約3回が目安。

                       
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