アメリカではハンバーガーやピザなどのファストフードが食文化の象徴として広く親しまれているが、支持されるチェーン店は州ごとに大きく異なることが、このほど明らかになった。
金融情報サイトのファイナンスバズ(FinanceBuzz)のデータによれば、全50州とワシントンD.C.の中で最も多くの州で1位となったのはウェンディーズ(Wendy’s)で、6州で“お気に入り”に選ばれた。次いで、ドライブイン形式で知られるソニック(Sonic)が5州で首位を獲得している。人気度はGoogleトレンドの検索スコアを基に、人口10万人当たりの店舗数で補正して算出した。

人気は“全米一強”ではなく分散型
今回のデータでは、州ごとの1位として計28のチェーンが登場。うち15ブランドは1州のみで首位となっており、全体として人気が大きく分散しているのが特徴だ。ウェンディーズが支持を集めた州はモンタナからペンシルベニアまで広範囲に分布。一方、ソニックを選んだ5州は同社の本拠地オクラホマ州周辺に集中している。また、ウェンディーズとソニックに続き、サブウェイ(Subway)とジミー・ジョンズ(Jimmy John’s)がそれぞれ3州で1位となり、3位タイとなった。
NYはShake Shack、NJはJersey Mike’s
東海岸でもその違いは顕著だ。ニューヨーク州では、2004年にマンハッタンのマジソン・スクエア・パークの売店から始まった「Shake Shack」が最も高い関心を集めた。一方、隣接するニュージャージー州では「Jersey Mike’s」がトップに立っている。地理的に近接する両州でさえ支持ブランドが異なることは、味の問題以上に“地元ブランドへの帰属意識”が消費行動に影響している可能性を示している。
“地元愛”とブランド忠誠度が鍵
テキサス州では「Whataburger」、その他の州でも地域発祥チェーンが支持を集める傾向が見られた。これはいわゆる“ホームステート効果”であり、消費者が単に商品を選ぶのではなく、ブランドの背景や地域性も選んでいることを意味する。
◆マクドナルドが1位ゼロという示唆
世界最大級のファストフードチェーンであるマクドナルドは、今回の調査でいずれの州でも1位を獲得しなかった。これは「全米的な知名度の高さ」と「地域で最も支持されるブランド」であることが必ずしも一致しないことを示している。背景には、2014〜24年に主要チェーンの中で平均メニュー価格の上昇率が最高を記録し、価格がほぼ2倍になったとの事情もある。こうした価格上昇が、消費者の検索動向や支持度に影響した可能性は否めない。
◆このデータから読み解けること
今回のデータが示しているのは、単なる人気ランキングではない。そこから浮かび上がるのは、巨大なナショナルブランドよりも、地域との結び付きが強いブランドが支持を集めやすいといったアメリカ市場の特徴だ。また、全米展開を目指すには、画一的な戦略だけでは不十分であり、州ごとの文化やロイヤルティを丁寧に理解することが重要であることも示唆している。州ごとに“推し”のファストフードが異なる事実は、アメリカの消費文化が一様ではなく、地域性と深く結びついていることを改めて物語っている。
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