2026年2月24日 NY de Volunteer COLUMN

『NYで見つけた、私にできること〜NY de Volunteer』(9)日本語を学ぶニューヨーカーを支援する、日本語講座アシスタントボランティア

ちょっとした「やってみよう」が、人と人をつなげ、地域を支えているニューヨーク。ボランティア活動でのリアルな声や、心動く瞬間をNY de Volunteer がお届けします。

私たちNY de Volunteer は、社会課題の解決に向けて自ら考え行動する「チェンジメーカー」を育てることを目的に、2003年からニューヨークで活動している非営利団体です。

NY de Volunteer は、コニーアイランドを訪れた一人の日本人女性が、あまりに汚いビーチにショックを受け、「何かできることを」と、自らの手でごみ拾いを始めたことから始まりました。連載では、活動現場での人と人との触れ合いから生まれる、さまざまなエピソードをお届けしていきます。

連載第9回では、2025年秋から団体の新しいプログラムとしてスタートした、ニューヨーク公共図書館(NYPL)主催の日本語講座アシスタントボランティアをご紹介します。

これまでの実績がつながった、団体としての喜び

ニューヨーク市内に多くの拠点を持つNYPLですが、私たちは過去にMacomb’s Bridge Libraryで折り紙ワークショップを開催したご縁がありました。その担当者から、「Stavros Niarchos Foundation Library(SNFL)で実施する日本語講座を手伝ってくれるボランティアを探している」とご相談をいただいたのが今回の始まりです。NY de Volunteer を信頼してお声がけいただいたのは、これまでの活動が評価され「一緒に取り組みたい」と評価される団体へと成長できた証でもあります。積み重ねてきた実績が新しい協働につながったことは、私たちにとって大きな喜びでした。

ブライアントパークの近くにあるSNFL

「自分で考えて行動する力」が引き出されたプログラム

SNFLの担当者から講座内容を詳しく聞き、NY de Volunteer としてどのように関わるかを検討しました。そこで課題となったのが、1回の授業に必要なボランティア人数です。クラスは20人規模で、アシスタントは2~3人が適切。これまでの活動では基本的にスタッフも参加しますが、いつものようにスタッフが毎回入るとボランティア枠が減ってしまいます。

「できるだけ多くの人にボランティアの機会を届けたい。そして社会貢献への関心を持ってくれる人を増やしたい」との思いから、スタッフ不在での運営を模索しました。

新しいプログラムである以上、慎重な対応も必要です。そこでまずスタッフのみで授業に参加し、アシスタントの役割を確認しました。そのうえでボランティアの皆さんに事前に授業の様子を共有し、不安を軽減しながら授業の質を保つ工夫をしました。

実際、参加者の皆さんは運営スタッフがいなくても状況を見ながら柔軟に動き、講師や生徒を丁寧にサポートしてくださいました。「自分で考えて行動する」という姿勢は、どのボランティア活動においても欠かせない力です。NY de Volunteer でも、活動を一緒に作る仲間として主体性を発揮していただくことを大切にしています。SNSなどでの発信を通じて活動に共感し、自ら関わり、場を支えてくださる“仲間”が増えていることは、団体にとって大きな自信となります。「信頼できる人が集まってくる団体」へと成長し、「活動の積み重ね」が確かな形で実を結んだことを改めて実感しました。

ひらがなの練習に取り組む参加者たち

日本語を客観的に見ることができた貴重な体験

SNFLはブライアントパークの斜向かいにある図書館で、ガラス張りの教室では通りがかる人も授業の様子を見ることができます。今回の講座は、日本のアニメやキャラクター文化が好きで、日本を何度も訪れている講師が担当しました。資料は全て自作で、日本文化が伝わるイラストもふんだんに取り入れられており、授業への熱意が伝わってきました。YouTubeやオンライン教材、地域の日本語クラスなど、ご自身が学習に使っている教材も紹介していました。

NY de Volunteer は、毎2~3人のボランティアを募り、文字の読み上げや発音の実演などを行うアシスタントとして授業に参加しました。日本語を母語とする人が海外の日本語クラスに参加する機会は多くありません。公共図書館が日本語講座を開催するほど、日本語がメジャーな存在となっていることを実感できる貴重な経験でした。

授業は2025年9月から12月にかけて全9回開催。各回には20人ほどの多様な背景を持つ生徒が集まり、講師の話に熱心に耳を傾けていました。ひらがな・カタカナの練習や、日常で使う単語や簡単な挨拶の発声にも、皆さん積極的に取り組んでいました。

時折、日本語を無意識に使っている立場としては答えるのに少し悩む質問も受けました。例えば、「お願いします」と「よろしくお願いします」はどう違い、どのように使い分けるのか。イメージしやすい場面を挙げながら、日本が誤解されないように英語でなんとか説明するものの、どうしてもニュアンスが伝えきれない部分があり、母語を母語以外で教える難しさを改めて実感しました。

日常で使用する単語をイラストを使って説明

ボランティア活動を通じての気づき

活動後のアンケートでは、さまざまな感想が寄せられました。

多くの参加者が、日本語を学ぶ人々の熱意に触れ、驚きと喜びを感じたと答えています。終了時間を過ぎても誰一人帰らず、質問が飛び交う様子に学びへの真剣さが伝わってきたとの声もありました。帰り際に覚えたばかりの日本語で挨拶してくれたのがうれしかった、といったコメントも印象的でした。日本語に興味を持っている人の、こうしたダイレクトな反応はとても印象に残るものだったと思います。

また、普段は意識しない日本語の難しさを再発見したり、英語で説明する難しさに挑戦したりと、「ボランティアでありながら自分自身の学びにもつながった」という声が多く寄せられました。今まで疑問に思わなかったことを質問されたり、何気なく使っている日本語を外国語として捉えたりすることで、新たな気づきが生まれたという意見もありました。

助詞の使い方も説明

日本語は立派なスキル。気軽に始められるボランティア

今回のNYPLとの協働は、私たちにとっても新しいプログラムを生み出せた達成感のある取り組みでした。英語をスラスラと話せなくても、ローカルコミュニティーと丁寧にコミュニケーションを重ねることで企画を形にすることができました。日本語講座アシスタントを私たちの継続的なボランティア活動として続けていくべく、今後も協働を目指していきます。

異国の地にいると日本語を強みとして感じることが少ないかもしれません。しかしニューヨークでは、日本語や日本文化は大変人気があります。日本語ネイティブという強みを活かして、地域に貢献してみませんか。今後は、会話練習の時間を増やすなど、講師と講座設計から一緒に考えていければと思っています。企画段階から関わりたい人も、授業で日本語学習者と交流してみたい人も、NY de Volunteer ではさまざまなレベルで社会貢献を経験できます。

「やってみたい」と思ったら、ぜひ参加してみてください。日本語を軸に気軽に始められるボランティアとして、今後も継続的に機会を届けていきたいと思います。

文/Yumiko Kimura(NY de Volunteer運営スタッフ)

運営スタッフ募集

NY de Volunteer

市民の社会参加やボランティア活動を推進し、グローバルリーダーの育成を通じて、社会課題の解決に向けて自発的に考え、行動する「チェンジメーカー」を社会に送り出すことを目的に、2003年から活動する非営利法人。公式SNSでは、ニューヨークでのボランティア活動の魅力や、イベント情報を配信中。フォロー&いいね!をお待ちしています。

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