コーネル大学で2024年に起きたとされる性暴力事件が、約2年を経て再び注目を集めている。女性の民事訴訟と、その訴えを詳しく伝えた学生新聞「コーネル・デイリー・サン(The Cornell Daily Sun)」の報道をきっかけに、関心が広がった。大学の対応を問う社説やSNSでの反響を通じて、議論は学外へと広がり、当初の捜査のあり方も問われている。同紙の報道・社説と、米公共ラジオNPR、AP通信の報道をもとに経緯をまとめた。

訴状と女性の声を伝えた学生新聞
女性は、2024年10月に学生の社交団体「カイ・ファイ(Chi Phi)」の建物で、薬物などの影響で同意できない状態のまま、複数の男性から性的暴行を受けたと訴えている。同年11月に大学警察に被害を申告し、大学も当時、申告があったことを公表した。しかし、地元検察は起訴しなかった。
今年9月、女性は大学や現役・元学生7人などを相手に民事訴訟を起こした。長い訴状には法律用語も多く、一般の人には読み解きにくい。学生新聞は9月18日、訴状に記された経緯やグループチャットの内容を整理し、画像も使って分かりやすく伝えた。女性にも取材し、約2年がたっても影響が続いているという声を紹介した。こうした報道が、多くの人がこの問題を知るきっかけとなった。
実名を掲げた社説で大学に説明を求める
同紙は9月21日、「Cornell Won’t, We Will(コーネルがしないなら、私たちがする)」と題した社説を掲載。訴状の被告7人の名前を冒頭に並べ、大学が学生の安全を守ったのか、調査や処分について十分に説明したのかを問うた。
NPRによると、この社説は全国的な関心が高まる前に出された。編集長は、学内外から多くの反響や連帯の声が届いたと話している。学生新聞は事件を伝えるだけでなく、大学の対応にも目を向け、説明を求めた。
SNSで広がる批判と連帯
訴状には、女性を性的な行為の相手として扱い、ほかのメンバーを部屋に誘うSnapchatのグループチャットの画像も含まれていた。学生新聞はその画像を記事に掲載し、女性を物のように扱うメッセージも広く知られることになった。SNSでは、女性が訴訟で使う匿名名「ジェーン・ドウ(Jane Doe)」を掲げ、連帯を示す投稿も広がった。動画や写真、文章を通じて、大学の外からも性暴力への対応を問う声が上がった。
大学の処分にも批判が集まった。女性側は、エッセイの提出で処分の軽減を求める機会が与えられたことなどを問題視。一方、大学は、退学や停学も科しており、エッセイだけで済ませたわけではないと反論している。
検察に届かなかった面談記録
その後の報道で、女性が大学警察との面談で「強姦されたと100%確信している」と話していたことが明らかになった。ホークル州知事は、この発言が検察に渡された資料には含まれていなかったと指摘。検察も、当時は面談の全文記録を受け取っていなかったとしている。知事は、検察が女性に直接話を聞かずに起訴を見送ったことなどを批判し、10月1日、州司法長官の事務所を特別検察官に指定した。
男性側の一部は性的暴行への関与を否定しており、刑事責任は今後、証拠と証言に基づいて判断される。学生新聞は女性の訴えを広く伝え、大学の対応に説明を求めた。SNSによって関心がさらに広がり、起訴されなかった事件の経緯を、社会が改めて問うことになった。















