ニューヨーク市のアダムズ市長が障がいのある全ての子どもに教育の機会を約束したのが2年前。しかし、障がい児数百人がプリスクールに行くことができずにいる実態が最近の市議会公聴会で明るみに出た。チョークビートが1月29日、伝えた。

ミルデラさんがペルーから引っ越してきたのは2年前。4歳の自閉症の息子、マテオ君が学校に通えると思ったからだ。昨年9月にセラピーを含む特殊学級入りの約束を取り付けたものの、登校に関する具体的な通知がない。公聴会に出席したミルデラさんは、マンハッタンのシェルターで「毎日、無為に過ごすだけ」とスペイン語で話している。
同じような状況の子どもたちは市内に450人余。アダムズ氏は教員給与を引き上げ、プリスクール新設に5500万ドルの予算を確保したにもかかわらずだ。貧困層の子どもの教育支援・非営利団体 Advocates for Children の政策ディレクター、ランディ・レビバインさんは「選択の余地はない。市は最優先事項にすべきだ」と主張する。
元凶は官僚主義。保護者は提出する書類の多さに辟易。学校を新設しようとする団体も、許可を得る必要のある官庁の多さに呆れている。その一つ、Kennedy Children’s Center のCEO、ジャネー・アルターさんは公聴会で「昨年8月からオープン可能だったのに、消防局や建築局の許可がいまだに下りない。誰も気にしていない」と批判した。
交通手段の確保も問題だ。マテオ君はスクールバスに乗るにもサポートが必要。市教育局(DOE)からスクールバスの代わりにライドシェアを使うことになると言われて途方に暮れた。「夫が働きに出ている間、11カ月の赤ちゃんを連れて学校まで一緒に行かなければならないと思うと、くじけそうになる」と肩を落とす。
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