女性初の首席補佐官★スーザン・ワイルズ(67)
キャロライン・リービットに次いで取り上げねばならないのが、女性で初の大統領首席補佐官となったスーザン・サマーオール・ワイルズ(67)である。彼女は、トランプにより「氷の乙女」(ice maiden)と称され、トランプの最側近、ホワイトハウス全職員の頂点に立つことになった。
すでに60代後半だが、若い頃は、まさしくブロンド美人。父親は有名なNFLの選手で、その後スポーツキャスターとして活躍したパット・サマーオール。20代で政治の世界に入り、1980年の大統領選では、レーガン陣営の選挙運動のスケジューラーを務めている。トランプの2度の大統領選では、選挙参謀といっていい活躍をした。
2021年、彼女は、トランプのスーパーPACのCEOとなり、2024年の大統領選では選対本部長を務めた。2011年からトランプ陣営で世論調査担当を務めているジョン・マクローリンはメディアの取材に、「彼女は何事にも動じない。やるべきことを黙々とやり遂げる」と述べ、その仕事ぶりを絶賛した。
トランプ自身は、こう言った。
「スージーをアメリカ史上初の女性首席補佐官に迎えるのは当然の栄誉だ。わが国を誇り高い国にしてくれるのは間違いない」
トランプが全幅の信頼を置く職員のトップ
大統領首席補佐官は、閣僚ではない。よって、大統領権限継承順位にも入っていないし、議会の同意も必要ではない。ただし、「チーフ・オブ・スタッフ」と呼ばれ、閣僚以上の存在だ。
「チーフ・オブ・スタッフ」という言葉が表すように、主席補佐官は、ホワイトハウス事務局職員全員のトップに立つうえ、必要なときにはいつでも大統領に会える。また、大統領のスケジュールの管理を行い、大統領との面会も取り仕切る。
そのため、すべての情報が主席補佐官に集まるので、ある意味で、副大統領よりも権力があると言っても過言ではない。したがって、歴代大統領は、もっとも信頼がおける人間を主席補佐官に任命してきた。つまり、トランプは彼女に全幅の信頼を置いているのだ。
スーザン・ワイルズはこれまで、常にトランプの側にいた。それなのに、メディアの報道は少ない。動画、写真の数も多くない。それは、表に出ず、“裏方”に徹してきたからだという。
夫は共和党のコンサルト、2017年に離婚
スーザン・ワイルズは、ニュージャージー州サドルリヴァー出身。父親は前記したように、NFL選手でスポーツキャスター。トランプはその血筋を「優れた遺伝子」と称賛している。
メリーランド大カレッジパークを卒業後、1979年、ジャック・ケンプ下院議員のアシスタントとなって、政治の世界に入った。
1980年の大統領選でレーガン陣営の選挙運動スケジューラーを務めた後、多くの政治家の選挙活動でマネージャーを務め、ロビイング会社を設立、経営してきた。
2016年の大統領選では、トランプ陣営のフロリダ州におけるマネージャーを務め、その後のフロリダ州知事戦ではロン・デサンティスをサポートした。
共和党のコンサルタント、ラニー・ワイルズと結婚し、1985年にフロリダ州ジャクソンビル郊外のポンテベドラ・ビーチで暮らし、2人の娘をもうけたが、2017年に離婚している。エピスコバル・チャーチ(米国聖公会)の信者である。
*以上3人のほかに、トランプ政権にはまだまだ女性閣僚がいる。以下、そのプロファイオを紹介する。
国土安全保障省長官★クリスティ・ノーム(53)
一時、副大統領候補として名前が挙げられたサウスダコタ州知事のクリスティ・ノーム(53)も、トランプがお気に入りの女性政治家だ。彼女は、回顧録のなかで、「訓練不可能」で「大嫌い」だった犬を家族の営む農場で射殺したことを明らかにし、物議を醸した。また、杜撰な内容も批判された。もし、この回顧録がなければ、副大統領はJDヴァンスではなく、ノームだった可能性がある。
ノームは徹底したトランプ親派で、超保守。また武闘派ともされ、「大草原の鉄の女」とも呼ばれる。それはトランプと同様、不法移民を徹底して摘発してきたからだ。
クリスティ・ノームの実家は、サウスダコタ州ウォータータウンで、農場とレストラン経営している。両親はノルウェー系。在学中に父をなくしため、ノーザン州立大学を中退し、実家の経営を引き継いだ。
2006年、共和党から州下院議員に出馬して当選。議員在任中、2012年にサウスダコタ州立大で政治学BAを取得し、その後、2016年、サウスダコタ州知事に当選した。
全米の州知事としては初めて、国境管理強化のために州兵をメキシコ国境に派遣したことでトランプのお気に入りとなった。なんと、自身も数回、メキシコの国境を武装して訪れていて、同地域を「戦場」と形容したことで、物議を醸した。
対中強硬派であり「中国は米国の敵」と断言。同性婚に反対し、プロチョイスであり、3人の子供の母でもある。
この続きは5月20日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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