日本では、東京メトロや都営地下鉄をはじめ、都市部の多くの駅でホームドアや安全柵の設置が進んでいる。1日10万人以上が使用する大規模駅ではその設置率はすでに60〜100%に達し、2025年度中にはほぼ完備される見込みだ。これに対し、ニューヨークの地下鉄では現在ようやく「50駅にホームバリアを設置」という段階にある。ホークル州知事は2025年末までに100駅へと拡大する方針を発表したが、全体の駅数(472駅)に対する比率はまだ低い。

もちろん、100年以上の歴史を持ち、車両ごとに仕様が異なるニューヨークの地下鉄では、ホームドアの導入には大きな技術的・財政的ハードルがある。MTAも社内労働力によるコスト削減など工夫を凝らしているが、日本のような整備状況とはまだ距離があるのが現実だ。また、設置されている柵の構造にも違いがある。日本のホームドアは多くが全自動で、ホーム幅いっぱいを覆う「フルスクリーン型」が主流であるのに対し、ニューヨークで導入が進むバリアは腰の高さ程度の簡易なパネル型が中心で、落下や転落の防止には限界がある。
こうした中、日本から訪れる旅行者や短期滞在者が「安全柵がない」ホームに戸惑う声も少なくない。足元の黄色いラインを越えて立つ人々、混雑時に体が押し出されそうになる構造は、日本の都市鉄道に慣れた人にとっては本能的な恐怖を呼び起こす。

だからこそ重要なのは「心構え」だ。たとえば、なるべくホームの端に立たず、ベンチの横や柱の近くなど、転落リスクの低い位置を選ぶこと。周囲の人の動きにも気を配り、スマートフォンを見ながら歩かないこと。設備が完備されていない都市では、「自分を守る意識」こそが最後のセーフティネットになる。
ホームドアは都市の安全への意思表示だ。しかし、それが整うまでは、私たち一人ひとりの立ち位置が、安全を決める鍵になる。
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