ニューヨークのプライド・マーチは、世界最大級というLGBTQ+の権利を訴えるイベント。LGBTQ+月間である6月最後の週末29日、約100万人の市民が、カーニバル衣装のLGBTQ+コミュニティ参加者に「プライド!プライド!」と声援を送った。トランプ米大統領と当局による不法移民の強制捜査に批判の声が全米で強まる中、移民の権利を訴えるプラカードにも大きなチャントが送られた。


今年のマーチは、大きな変化に見舞われた。「多様性、公正性、包括性(DEI)」を撤廃するというトランプ氏の大統領令で、女性やLGBTQ+の権利が大幅に制限されている。民間団体がDEI推進を維持することは「違法行為」に当たるため、マーチの大手スポンサー企業が支援を撤退あるいは縮小した。
こうした中、巨大なフロート(山車)を継続したMacy’s、Kiehl’sの他、航空会社やホテル、ヘルスケア企業のマーチには大きな声援が飛んだ。「差別とヘイトに抵抗する看護士」「トランス差別は許さない」「移民LGBTQ+」といったグループやプラカードも市民の共感と興奮を呼んだ。
米大統領選挙の年だった2024年に比べると、政治的なメッセージを掲げたプラカードはほとんど見られなかった。長年マーチを取材してきたベテランの写真家は、こう指摘した。「プライド・マーチで政治的な主張がないなんて、かなりダークな印象を与える」
一方、マーチの後、参加者が約1万人集まったワシントン・スクエア・パークで、上半身裸の男性がクマ撃退用催涙スプレーを撒く事件が起きた。目の痛みを訴えた人々が病院に運ばれた他、ポリスラインの鉄柵付近で将棋倒しが起き、約50人が負傷した(NYポストによる)。
また、ダウンタウンでは16歳と17歳の女性が銃で撃たれ、1人が重体。プライド・マーチとの関係は不明だが、現場はゲイの権利を訴える運動の発祥地となったバー、ストーンウォール・インの近くだった。このため、付近のお祭り騒ぎは「混乱」に変わったという。
DEI撤廃や移民摘発などで社会不安が広がる中、プライド・マーチの緊張も増している。
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