2025年9月23日 NY de Volunteer COLUMN

『NYで見つけた、私にできること〜NY de Volunteer』(4)ボランティア参加者の声

ちょっとした「やってみよう」が、人と人をつなげ、地域を支えているニューヨーク。ボランティア活動でのリアルな声や、心動く瞬間をNY de Volunteerがお届けします。

私たちNY de Volunteerは、社会課題の解決に向けて自ら考え行動する「チェンジメーカー」を育てることを目的に、2003年からニューヨークで活動している非営利団体です。

NY de Volunteerは、コニーアイランドを訪れた1人の日本人女性が、あまりに汚いビーチにショックを受け、「何かできることを」と、自らの手でごみ拾いを始めたことから始まりました。連載では、活動現場での人と人との触れ合いから生まれる、さまざまなエピソードをお届けしていきます。連載第4回は、ボランティアに参加した皆さんから寄せられた声をお伝えします。

ニューヨークでボランティアをしたことはありますか?

「海外でボランティアなんて難しそう」「興味はあるけれど、どう始めたらいいか分からない」

そう感じる人も少なくありません。私たちNY de Volunteerは、これまでに延べ1万人以上にボランティアの機会を提供してきました。参加者の背景や動機はさまざまですが、共通しているのは「参加して良かった」という声です。

中でも私たちを最も励ましてくれるのは、活動を終えた参加者から届く声です。そこにはその場でしか得られない気づきや喜びが詰まっており、聞くたびに私たち自身も勇気づけられます。今回は、そんなリアルな体験談を3つの活動からご紹介します。

ブルーミングデール・ファミリー・プログラム
子どもたちと笑顔でつながる文化交流

マンハッタン北部で60年以上にわたり低所得世帯を支援してきた非営利団体、ブルーミングデール・ファミリー・プログラ(Bloomingdale Family Program)では、2~4歳の子どもたちを対象に折り紙や浴衣体験などの日本文化を紹介しました。

初めて現地の子どもたちと交流したというボランティアからは、次のような感想が届きました。

「現地の子どもたちと交流することは初めてで、とても貴重な経験でした。折り紙を作ると子どもたちが喜んでくれたことがうれしく、日本の文化を一緒に楽しむことができました。今後さらに日本の文化を広めたいと感じました」(初参加/20代の主婦)

子どもたちが小さな手で一生懸命に折り紙を楽しむ姿に触れることで、ボランティア自身も文化を伝える楽しさや手応えを実感します。

私たちNY de Volunteerにとって、この活動は単に文化を紹介する場にとどまらず、地域の人々との交流や互いの考えや背景を知るきっかけにもなります。子どもたちが初めて折り紙を完成させた喜びや、思いもよらない発想を見せてくれる瞬間は、ボランティアにとっても新しい発見です。こうしたやり取りを通じて、文化紹介活動は地域と参加者の双方にとって、ささやかですが大切な交流の場となっているのです。

運営スタッフとボランティア参加者

コロンビア大学日本語ボランティア学び合いが生まれる瞬間

コロンビア大学の日本語クラスでは、学生たちが日頃の学びを発表するプロジェクト発表会が行われます。NY de Volunteer のボランティアは、日本語でのフィードバックや質疑応答を通じて学生と交流しました。初めて参加したボランティアからは、こんな声が寄せられました。

「日本語を勉強する学生と交流できたことが、自分にとって大変刺激的でした。最初は自分に何ができるのだろうと不安でしたが、学生の素晴らしいプレゼンテーションを聞くうちに、自然と感想や質問が湧いてきて、自分も学生の力になれたことがうれしかったです。また、日本語を勉強して、あれほど魅力的なプレゼンができる学生を見て、自分もこれからのニューヨーク生活を頑張っていこうと思えました!」(初参加/30代の学生)

学生たちの熱意や努力に触れると、ボランティア自身も自然と学びや気づきを得られます。例えば、プレゼンを聞きながら質問や感想を返す中で、学生の考え方や表現の工夫に気づき、自分の視点も広がる瞬間があります。「教える側」と「学ぶ側」の立場を超えて、互いに刺激を受け合えること。それが NY de Volunteer の活動ならではの醍醐味です。こうした交流で得た気づきは、ボランティアにとっても日常生活での新たな視点やモチベーションにつながります。

コロンビア大学での発表会の様子


NECTJ Bunkasaiボランティアリピーターだから見えた成長と変化

北東部日本語教師会(NECTJ)が主催する、日本語を学ぶニューヨークの高校生向けの文化紹介イベント「NECTJ Bunkasai」では、折り紙ワークショップのブースを出展しました。リピーターのボランティア参加者からは、次のような声が届きました。

「新人の運営スタッフが多かったようですが、それをみじんも感じさせず、テキパキと分かりやすく指示してくださいました。皆さん気さくで話しやすく、その雰囲気のおかげで緊張せず、生徒にも声をかけやすくなりました。学校の施設に足を踏み入れる機会は貴重で、ここで実際に生徒が日々学んでいるのだなと実感できて良い体験となりました。学生一人一人が自分の言葉で懸命に伝えようとしてくれる姿が、心に強く残っています」

(リピーター/40代の主婦)

継続してボランティアに参加することで、運営体制への安心感や改善点、そして参加する高校生たちの成長や変化まで、より深く感じ取れるようになります。そうしたリピーターならではの気づきは、私たち運営メンバーにとっても活動をより充実させるためのヒントになります。

また、実際の現場では、当初は大人しかった学生も、少しずつ自分の言葉で日本へのイメージや折り紙の楽しさを表現してくれる場面がありました。こうした小さな交流の積み重ねが、学生たちの「日本をもっと知りたい」という気持ちを育んでいきます。その過程を共に見守り、支えていけることが、活動を続ける喜びであり、かけがえのない意義なのです。

運営スタッフとボランティア参加者

小さな一歩が、大きな出会いにつながる

今回ご紹介した参加者の声に共通しているのは、「小さな一歩が大きな実感につながる」ということです。最初は不安を抱えていた人も、現地の子どもたちや学生との交流を通じて「楽しかった」「刺激を受けた」と感じ、前向きな気持ちを持ち帰っています。その体験は、参加者自身にとって学びであると同時に、受け手のニューヨーカーにとっても忘れがたい出会いとなります。

ボランティアは特別な人だけのものではなく、誰にでもできる社会参加のかたちです。次回はぜひ、この記事を読んでくださっている皆さんとも、活動の現場で一緒に一歩を踏み出せることを楽しみにしています。


NY de Volunteer

市民の社会参加やボランティア活動を推進し、グローバルリーダーの育成を通じて、社会課題の解決に向けて自発的に考え、行動する「チェンジメーカー」を社会に送り出すことを目的に、2003年から活動する非営利法人。公式SNSでは、ニューヨークでのボランティア活動の魅力や、イベント情報を配信中。フォロー&いいね!をお待ちしています。

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