2025年10月7日 早稲田アカデミーNY校 COLUMN

早稲田アカデミーNY校 川村先生の知って安心! 帰国入試情報室 Vol. 7 NY在住の小中学生が、家庭でできる「日本の学び」とは?

海外で子育てをしていると、「日本語は話せるけれど、読み書きが弱い」「日本の歴史や時事に触れる機会が少ない」と感じることがあるのではないでしょうか。特に現地校に通う小・中学生の場合、日本の教科書的な知識に触れる機会は限られており、帰国後の学習ギャップを心配される保護者も少なくありません。

しかし、ニューヨークにいながらでも、日本の言葉・文化・知識に触れる機会は工夫次第でつくることができます。本コラムでは、現地校に通う子どもも家庭で無理なく続けられる「日本の学び」の方法をご紹介します。

1. 「漢字」は毎日の“少しずつ”が鍵

漢字学習は、まとまった量を一気に覚えるよりも、毎日少しずつ継続することが効果的です。おすすめは、日本の教科書準拠の漢字ドリル(小学館など)を1日1ページずつ取り組む方法です。学年にこだわらず、「子どもが読めるものから」始めるのが続けやすいポイントです。

また、アプリを活用するのも手です。「漢検スタディ(日本漢字能力検定協会公式)」などの無料アプリなら、楽しみながら復習ができます。保護者が音読してあげるだけでも、「書けないけれど読める漢字」が着実に増えていきます。

2. 「日本の歴史・地理」は物語と動画で親しむ

年号や人物名を丸暗記するのではなく、「ストーリーで理解する」ことが定着への近道です。例えば、小学生向けの歴史まんが(集英社や学研のシリーズ)は大変人気があり、視覚的に歴史を楽しく学べます。

また、YouTubeやNHK for Schoolといった動画教材には、子ども向けに分かりやすく日本の歴史や地理を紹介しているチャンネルが多数存在します。内容が分かりやすいだけでなく、音声・映像で記憶に残りやすいため、移動時間や就寝前の“ながら視聴”にも最適です。

3. 「日本の時事」や「社会的常識」は親子の会話が入口に

海外で暮らしていると日本のニュースや話題にふれる機会が減りがちですが、今はデジタルツールを使えば簡単に補えます。例えば、「こども新聞(朝日・読売・毎日)」は、電子版での定期購読が可能です。図解が多く、小学生でも読みやすい構成になっているため、親子で一緒に読む習慣を付けると、日本語読解力も自然と伸びていきます。

また、日々の会話の中で「日本では今どんな行事があるのか」「ニュースでどんな話題が取り上げられているのか」などを共有するだけでも、子どもの中に「日本の時間軸」が育っていきます。

4. 「受験を見据えた基礎学力の維持」も無理なくコツコツと

帰国生入試や日本の教育制度に関心のある家庭では、オンラインで受講可能な塾に通ったり、通信教材を利用したりする人も多くいます。ただ、通信教材は毎日取り組むのはハードルが高い場合もありますね。まずは1週間で1単元を目安に、日本語の説明文読解や理科・社会の語句確認など、「日本語で考える時間」を生活の中に取り入れることが大切です。

「全部やる」のではなく、「今できる範囲から始める」姿勢が、長続きの秘訣です。

まとめ

ニューヨークで育つ子どもにとって、日本語の維持や日本の文化・知識の習得は、将来の進路選択やアイデンティティーの確立にもつながる大切な学びです。海外だからこそ、日本の良さや独自性に気づくこともできます。

家庭の中での少しの工夫が、日々の学びを大きく支えてくれます。「毎日5分だけ日本語で本を読む」「週に1回だけ歴史まんがを一緒に読む」。そんな積み重ねが、子どもの未来につながる確かな力になるはずです。

稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html

早稲田アカデミーNY校  川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門で英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせはこちらまで(メール:newyork@waseda-academy.com

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