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観光都市・ニューヨークには、実は“心霊好き”の間で密かな人気を集めるスポットが点在する。古い豪邸、荘厳な教会、夜の街角・・・そこに眠る物語を辿れば、街のもう一つの歴史が見えてくる。ハロウィンシーズンを前に、ニューヨーク在住のSF&ファンタジー評論家・小谷真理さんが語る「ゴーストハンティングの世界」とは。

小谷さんは、若い頃からアメリカのSF大会に参加するためたびたび来米し、現地の書店で怪談や幽霊屋敷のガイド本に出会ったことをきっかけに心霊スポットに興味を持ち始めた。夫と共にニューヨークに滞在するようになってからは、観光の合間にパラノーマルな場所を訪れるのが楽しみとなり、単なる“怖い話”にとどまらず、南北戦争や独立戦争、歓楽街や劇場街の盛衰など、アメリカの歴史や文化を読み解く手がかりとして心霊スポットを楽しんでいる。
今回は、バワリー界隈の心霊スポットを紹介する。マンハッタン南部、チャイナタウンやイーストビレッジに隣接するバワリー界隈。かつては貧困や歓楽街で知られ、今では再開発でアートの街へと変貌しているが、その歴史の光と影から、数々の心霊伝説や不思議な噂がある。
◆ マーチャンツハウス博物館
マンハッタンの心霊スポットとして最も有名な屋敷
マンハッタンの心霊スポットでもっともよく知られている豪邸、マーチャンツハウス博物館(Old Marchant House Museum, 29 East Fourth Street)。ガイドブックでも必ず取り上げられている。目撃情報が多く、「幽霊」ガイドブックには必ず取り上げられる有名な屋敷。博物館は現在、老朽化した建物の保全のために募金活動を行っており、パラノーマルな噂を否定することもなく、ハロウインの時期にはゴーストツアーなどを開催。幽霊を観光資源として活用している。
屋敷は1832年に建造。3年後、裕福な商人シーバリー・トレッドウェル夫妻に売却された。トレッドウェル家は、5人の子どもがいた。そのうちの3人は結婚後もこの家に住み続け、彼らの子どもたちも同居していた。娘の一人、メアリーの子ども、すなわちシーバリーの孫にあたるガートルードは、若い頃恋人がいたものの父親に反対されて結婚できず、生涯独身を通し、1933年に93歳で亡くなるまで、この家で過ごした。死亡当時は使用人だけでほぼ孤独死状態だった。ガートルードの死後、屋敷を受け継いだ姪のリリー・ニコルズは、諸事の理由から親戚のジョージ・チャップマンに家を譲り、彼が古い屋敷を博物館として保存する構想を立てた。アメリカでもここまで古い屋敷が現存するのは、かなり貴重と考えられていたからである。
ガートルードの幽霊が有名だが、ガートルードの母親メアリーが、屋敷の建築主の幽霊を見たとも証言している、夜中に物音がした、いないはずの部屋のドアが勝手に閉まる、階段に女がいたなど、非常に多くの目撃報告があり、たびたび心霊現象調査の対象にもなっている。
◆ セント・マークス教会 in バワリー
ウォール街の名前の由来となった人物の亡霊が出る教会

もともとセント・マークス教会(St.Marks Church, 131 East 10th. St. at 2nd Ave.)は、かつてピーター・スタイブサント(Peter Stuyvesant, 1612–1672)総督が所有していた広大な農園に建てられた教会。現在の「バワリー」という地名は、オランダ語で「農園」を意味する言葉に由来しており、彼の農園にちなんでいる。

スタイブサントは、ニューヨークがまだオランダ領「ニューアムステルダム」と呼ばれていた時代の最後のオランダ総督であり、後にこの地をイギリスへ明け渡した人物である。イギリスの侵攻を防ぐために築いた防壁が、現在のウォールストリートという名の由来になった。また、戦闘で片足を失い義足を装着していたことから、ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」に登場するエイハブ船長のモデルになったともいわれている。
現在建っているセント・マークス教会は1799年に建てられたイギリス国教会の教会だが、その前身はスタイブサントが建てた個人礼拝堂であり、教会墓地には彼自身も葬られている。そして、この教会はスタイブサントの幽霊が出没することでよく知られている。農園の屋敷が火災で焼失した際にも彼の亡霊が現れたという逸話が残っている。
特に有名なのは義足にまつわる話。礼拝堂で「カツン、カツン」と義足の音を聞いたという報告が数多く残っている。他にも彼の姿を見たという証言や、教会の鐘が突然鳴り響くといった怪奇現象の記録が残っている。
◆ バワリーホテル
セレブ御用達、実は怪奇現象の宝庫

マンハッタンで「幽霊が出るホテル」として名が挙がるのが、このバワリーホテル(Bowery Hotel, 335 Bowery)。ここでは深夜1時を過ぎると、エレベーターが勝手に停止したり、幽霊が姿を現したりするという噂が絶えない。。宿泊中の有名人や、運が良ければ幽霊に出会えるかもしれないということで人気がある。ただし宿泊料金も非常に高額なので、そちらの理由から“背筋が凍る”もかもしれない。
なぜ、このホテルに幽霊が出没するのか?それにはバワリー界隈の歴史が深く関わっているようだ。ホテルが建っている一帯は、1890年代には賭博場や酒場、娼館がひしめく巨大な歓楽街であり、まさに悪徳が渦巻く無法地帯だった。警察でさえ迂闊に踏み込めないほど危険な地域で、その暗黒街を仕切っていたのがジョン・マガーク(John McGurk)という男。彼については、次に紹介する「マガークの自殺ホール」の跡地でさらに詳しく触れることにしよう。
◆ 295 Bowery(Houston St. と East1 St. 間付近)
マガークの自殺ホール跡地

1895年頃、この場所には南北戦争の帰還兵を収容する宿泊施設があった。既に複数の歓楽施設で成功していた前述のマガークは、この建物を買い取り、賭博場や酒場を備えた歓楽施設に改装した。これが「マガークサロン」と呼ばれる場所である。
そこには多数の娼婦が暮らしており、虐待や暴力が横行していた。若い女性の自殺者が後を絶たず、正確な犠牲者の数はいまだ不明だ。マガークを巡る最大の醜聞は1899年10月に起きた、娼婦の自殺事件だ。服毒自殺を図った1人は死亡、もう1人は一命を取り留めたものの顔に大火傷を負った。ところがマガークは治療するどころか彼女を追い出し、この事件の醜聞を逆手に取り、「自殺会館」あるいは「自殺酒場」と呼ばれる特別な遊戯場を作り、自殺をネタに商売を続けた。
当時のバワリーは警察の手も及ばない無法地帯だったが、この店のあまりにも忌まわしい噂が広がると、ついに警察が動いた。ニューヨーク市公安委員長に就任したセオドア・ルーズベルト(のちの第26代大統領)は、市の悪徳を一掃することを宣言し、歓楽街の取り締まりを強化。1902年、ついに「自殺会館」は閉鎖された。マガークは逮捕されたが詐病し、起訴まで1カ月間の猶予を得ると、その間にカリフォルニア州へ逃亡し、同地で死んだ。
その後「自殺会館」は改装され、1950年代には女性アーティスト向けの宿泊施設となったが、この時期には幽霊譚はあまり伝えられていない。再開発の波に押され、2005年に取り壊され、約105年に及ぶ建物の歴史は幕を閉じた。現在は高級マンションが建っているが、“忌まわしい場所”として知られ、幽霊が出るスポットと語り継がれている。前述のバワリーホテルはこの跡地の至近距離にあり、両者の怪現象を関連付ける記述も散見される。
写真・案内人/小谷真理
案内人:NY在住SF&ファンタジー評論家の小谷真理さん

本好きが高じて、一番おもしろいストーリーが満ち溢れているジャンルSFやファンタジーにどっぷりハマり、ついに評論家として身を立てることになる。女性SFをフェミニズム批評で分析した第一著書『女性状無意識』で、1994 年日本SF大賞を受賞。日本のポップカルチャーをフェミニズム批評で読み解くのが専門で、元明治大学客員教授。学術書だけではなく、小学生むきの評論書『ハリー・ポッターをばっちり読み解く7つの鍵』や読書ガイド『星の鍵、魔法の小箱』も刊行していて、魔法図書館長と呼ばれることも。日本経済新聞の木曜夕刊「今週のオススメ」欄で、かれこれ35年ほど、3週間おきにSFやファンタジーの新刊の書評を執筆。70年代末に日本でコスプレをした最初の年代。
X:https://x.com/KotaniMari
公式サイト:http://inherzone.org
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