2025年12月29日 NEWS DAILY CONTENTS COLUMN 『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』

連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』Vol.30 ふらっと入れないラーメン屋さん

ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は28歳、昨年の夏に憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。

〜 ラーメンを食べるのに1カ月待ち!? 〜

この間ニュースを読んでいたら、「日本の朝ラーメン文化に感化された女性が、ニューヨークでラーメン屋を営んでいて大盛況だ」という記事が目に入り、そこからものすごく朝ラーメンをしたい気分が続いていたので、時間を見つけてお店に行ってきた。

朝10時、朝のコーヒーも我慢して全ての味覚を “朝ラーメン” に集中させて店に向かったのだが、いざ暖簾を潜ると「予約はしていますか? 当店の予約は1カ月先まで埋まっていて・・・」と案内係に告げられた。

そうだ、ここはニューヨーク。レストランや小洒落たバーに行くときは予約をして行くのが一般的。だがラーメン屋、ましてや朝ラーメンに予約がいるという考えには至らず、完全に油断していた。頭を軽くラーメン鉢で殴られたようなショックのまま、家に帰ってインスタントヌードルでセルフ朝ラーメンをした。

日本だとラーメン屋はトップ・オブ・手軽なフード。デート相手を連れて行くのも、ちょっと微妙なラインだったりもするくらい、肩肘張らずに食べられる国民的フードだ。だがそんなラーメンも異国の地では、”朝” という時間帯にバリューが付けられ、予約は1カ月先まで取れない。

嬉しいような、悲しいような。こうして自国の文化や食べ物がフィーチャーされ、人々が喜んでいる様子を見られるのはとてもありがたいことだが、長年苦楽をともに過ごしてきた彼氏が突然映画スターになり、「ちょっと俺、海外のロケで忙しいからもう会えないわ!」と言わんばかりの寂しさは感じてしまった(笑)。

筆者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー

兵庫県出身の28歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。

前回のエピソード

Vol29. お客が神さまではない街
Vol28. アメリカでは相手の年齢を聞かない
Vol27. ラーメン3000円、家賃50万円の街
Vol26. 日本にはあって、この街にはない “男ウケする格好”

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