
学校からの突然の電話ほど、心臓に悪いものはありません。多くの場合、それは子どもがけがをした、あるいは体調を崩したとの知らせです。先日も、次男が学校で頭を強く打ったため、早めに医療機関を受診するようにとの連絡がありました。
そのとき頭をよぎったのは、「まず主治医に電話するべきか、それともER(救急外来)へ向かうべきか、それともUrgent Careで十分なのか」という迷いでした。突然の体調不良やけがの場合、最初の受診先の判断が予後を左右することもあります。

アメリカではERだけでなく、Urgent Care PLUS、Urgent Care、Walk-in Clinic など、症状の緊急度に応じて複数の受診先があります。主治医が最初の相談先となることもありますが、診療時間や症状の緊急度によっては他の選択肢が現実的な場合もあります。ここではそれぞれの役割を整理してみましょう。
◆ER(Emergency Room、救急外来)
命に関わる、または対応が遅れると危険な症状の場合に受診すべき医療機関です。脳卒中が疑われる症状、激しい胸痛、呼吸困難、大量出血、意識消失などがある場合は、迷わずERへ。動けない場合は、911に通報しましょう。
特徴:救急医療専門の医師が常駐し、24時間体制で対応。CTなどの画像検査、手術、入院治療が可能です。一方で、待ち時間が長くなることが多く、医療費も高額になりがちなので、注意が必要です。
ニューヨーク・ニュージャージー州の主なER(一部抜粋)
・NYU Langone Health(NYU Langone Hospital 系列)
・Mount Sinai Hospital(Mount Sinai Health System)
・NewYork-Presbyterian Hospital
・Hackensack University Medical Center(NJ)
・RWJ University Hospital(RWJBarnabas Health/NJ)
「立地」によって大きく違うER
ERは「立地」によって大きく異なります。ニューヨークやニュージャージー州にある大規模病院、特にレベル1トラウマセンターでは重症患者が集中しやすく、待ち時間が数時間に及ぶこともあります。一方、クイーンズやウェストチェスターなどニューヨーク市郊外、またニュージャージー州の地域密着型病院では、こうした大規模病院に比べて比較的落ち着いて受診できる傾向が見られます。
*保険が適用されていれば、居住地に関係なくERを選んで受診することは可能ですが、生命に関わる緊急時には、待ち時間に関係なく最寄りのERを優先すべきです。
◆Urgent Care PLUS(Advanced Urgent Care)
ERと一般的なUrgent Careの中間に位置する医療機関です。ERに行くべきか迷うものの、ある程度詳しい検査や判断が必要と考えられる症状に適しています。強い腹痛、頭部打撲、原因不明の胸痛など、「精密検査が必要かもしれない」ケースでは、有効な選択肢となります。
特徴:ERでの診療経験のある医師や看護師が常駐し、CT、X線(レントゲン)、血液検査、心電図(EKG)、超音波検査(Ultrasound)など、一般的なUrgent Careより幅広い検査に対応しています。拠点によって対応可能な検査内容は異なりますが、ERよりも待ち時間や費用を抑えられる場合が多いのが特徴です。多くの施設で予約なし受診が可能で、必要に応じて病院やERと連携します。
例えば、Northwell Health GoHealth Urgent Care、Hackensack Meridian Urgent Care PLUS などがあります。
*受付時に「CT scan available?」「ER-trained physician on site?」と確認しておくと安心です。
なお、施設や診療内容によっては保険上ER扱いとなる場合もあるため、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

◆Urgent Care
命に関わるほどではないものの、当日中の診察が必要な症状に適した医療機関です。発熱や感染症、インフルエンザのような症状、尿路感染症、軽度のけがや捻挫、簡単な縫合処置などに対応しています。
特徴:多くの施設で予約なしで受診でき、比較的待ち時間が短いのが利点です。また、X線(レントゲン)撮影に対応している拠点も多いので、骨折が疑われる場合にも利用できます。ERに比べて時間的・経済的な負担を抑えられるのも特徴です。
例えば、拠点数の多いCityMD をはじめ、MedRite Urgent Care などが広く利用されています。
◆Walk-in Clinic
薬局などに併設されたWalk-in Clinic は、比較的軽度な症状に対応する医療機関です。軽い風邪やアレルギー症状、予防接種、処方せんの更新などを主な対象としています。
特徴:診療範囲は限られますが、予約不要で気軽に受診でき、待ち時間や費用を抑えられる点が魅力です。医師ではなくナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)が対応するケースが多く、日常的な軽症時の受診先として利用されています。
例えば、CVSやWalgreens
症状別・簡単な目安
・命の危険がある → ER
・精密検査が必要かも → Urgent Care PLUS
・当日診察必要 → Urgent Care
・軽症 → Walk-in
◆知っておきたい実用ポイント
ERの待ち時間は曜日や時間帯、地域によって大きく変わります。月曜や金曜の夜は特に混雑しやすく、火曜・水曜の午前中は比較的空いている傾向にあるといわれてます。また、ERに行く前に保険のネットワークを確認し、「このERは保険適用か」を受付で確認することも重要ですね。症状が判断しづらい場合は、Urgent Care PLUS、Urgent Care を経由して必要に応じてERへ転送される流れが、現実的で安全な選択となることも多いです。

【今日のひとこと】
「備えあれば憂いなし」
あらかじめ受診先の目安を知っておくだけで、時間や費用の負担は大きく変わります。いざというときに慌てないためにも、日頃から基本的な選択肢を整理しておくことが何よりの備えとなります。
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