2020年3月23日 NEWS

えん罪事件の元検事が提訴 名誉毀損でネットフリックスと監督を

 マンハッタン区地区検事局の元検事で、ベストセラー作家のリンダ・フェアスタインさんが18日、ドラマシリーズ「When They See Us(邦題:ボクらを見る目)」を制作・配信した動画配信大手ネットフリックスと、同シリーズを監督したエバ・デュバーネイさんを、フロリダ州フォートマイヤーズの連邦裁判所に提訴した。同番組により検事としての経歴と人格を著しく傷つけられたとしている。各メディアが18日、報じた。
 昨年5月に配信が開始された同シリーズは、1989年にセントラルパークで起きたえん罪事件を基に制作。同区ハーレムの黒人とラテン系の少年5人が自白を強要され有罪となり長年服役、真犯人が現れた13年後に判決が覆った。ドラマでは「セントラルパークファイブ」と呼ばれた5人への不条理な尋問や、検察が事件解決を急ぐあまり事実から目を背ける姿勢、過酷な収監生活を再現し、大きな話題を呼んだ。
 フェアスタインさんは、番組の中で5人を有罪にしようと躍起になる人種差別主義者で非論理的な検事として誤って描かれたと主張。第1話が配信された直後から自身の著書のボイコットを求めるオンラインでの署名運動が発生。出版社から契約を打ち切られ、取締役を務めていた複数の団体で辞任に追い込まれたと訴えている。フェアスタインさんは検事時代の体験を基にした犯罪小説で人気を博していた。
 ネットフリックスは、「提訴には根拠がない」と反論している。

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