2020年3月31日 NEWS

苦難を生き抜いた詩人の「回復力」 スペインかぜから女性差別まで

 詩人で労働活動家のナオミ・レプランスキーさん(101)は、幾多の苦難を生き抜いてきた。新型コロナウイルスの感染が止まらないいま、28日付のニューヨークタイムズは、人間の「レジリエンス(回復力)」の1つの例としてレプランスキーさんの人生を紹介した。
 1918年ブロンクス区生まれ。スペインかぜの世界的大流行が始まった年と重なる。その2年前に始まった小児麻痺はニューヨーク市内で2000人の命を奪った。50年代にワクチンができるまで毎春大流行し、集会自粛は常だった。腸チフスが流行った年もある。高校の卒業時は大恐慌の真っただ中。反ユダヤ主義による迫害、女性や同性愛者への差別にも直面した。それでも大学卒業後、52年に出版した詩集は全米図書賞候補になり、サラ・ローレンス大学で教鞭を執った
 現在は、妻のエバ・コリッシュさん(95)とアパートで2人暮らし。エバさんはオーストリアのウイーン出身で、ナチスドイツのユダヤ人弾圧を逃れてきた。2人で長時間散歩をし、仏教の瞑想センターや食料品店に寄り、野菜中心の昼食を楽しむのが日課だ。現在は外出自粛中だが、喜びは意外なところに潜んでいると言うレプランスキーさん。「年老いた私でもまだまだ大丈夫」と笑った。

輪の歌 

ナオミ・レプランスキー

手をつないで生きるとき 

私は裸で市場に立つ

何も売れなかったら 

寒さに向かい火を起こす

それでも寒さが終わらねば 

待ち伏せして喜びに飛びかかる

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