第25回 Shalom Japan

ユダヤと日本の味が融合 ウィリアムズバーグに新感覚レストラン

チキンにパストラミとキャベツを包んでローストした「Pastrami stuffed chicken(23ドル)」

 新しいものに敏感なニューヨーカーは、宝探しのように〝そこでしか味わえないとっておきの一皿〟を見つけるため、日々さまざまなレストランに足を運ぶ。各国のオーセンティック料理も良いけれど、想像力次第で可能性が無限に広がるフュージョン料理は新発見が多く飽きが来ない。ここ数年、あっと驚くような組み合わせで人々を楽しませる店が、ここニューヨークでも増えている。

酒粕を練り込んで焼いた「Challah(7ドル)」は、酒粕を溶いた自家製レーズンバターでいただく

 今年8月、若者の情報発信地ブルックリン区はウィリアムズバーグにオープンした「シャローム・ジャパン(Shalom Japan)」もそのひとつだ。ユダヤと日本の食を融合して生み出された想像性豊かなメニューの数々は、まさに驚きの連続。どれも一口頬張れば、思わず「へ〜、これイイネ!」と顔がほころんでしまう。

ひよこ豆で作った豆腐に、ビネガーと特製ゴマペーストをかけた「Chickpea tofu, eggplant, tomato(11ドル)」

 同店のオーナーシェフは、ユダヤにルーツを持つが生粋のニューヨーカーというアーロン・イスラエルさんと、日本にルーツを持つ大河内佐和子さんの2人。常に互いにアイデアを出し合い、〝ここでしか味わえないもの〟を考案している。「野菜はローカルのグリーンマーケットのものを使い、ソースからパンに塗るバター、デザートのアイスクリームまですべてが手作り。とにかくいろんなことにこだわり、『シャローム』でしか味わえないというものを提供できるように心掛けています」と大河内さん。相方であるイスラエルさんと料理について語れば次々と新しい発想が生まれ、とにかく楽しくて仕方がないという。

すべて手作りの「Mochi Blintz(9ドル)」

 例えば、ユダヤ教の食文化を代表する「ハラ」というパン。これに、酒粕を練り込んで焼いたらどうなるか|。はたまた、地中海近辺や中東の食文化になじみ深いひよこ豆(chickpea)で豆腐を作ったらどうなるか—。とにかく豊かなアイデアと納得の味には驚かされるばかり。この味は、一度試してみないと分からない。「百聞は〝一食〟にしかず」とはきっと、こういうことを言うのだろう。

オープンバーも併設。オリジナルカクテル「Sweet and Sawa(12ドル)」

Shalom Japan
310 S 4th St, Brooklyn
718-388-4012
火・水・日:午後6時〜10時
木〜土:午後6時〜11時
www.shalomjapannyc.com