
12日にマンハッタン区東ハーレムで発生したガス爆発事故を受け、市内に張りめぐらされたガス管の老朽化に対する懸念が高まっている。
米紙ニューヨーク・タイムズが連邦政府のデータをもとに分析したところ、全米のガス供給業者のうち、もっともガス漏れが多かったのがコンソリデーテッド・エジソン(コン・エド)だった。同社は、今回の爆発事故があったビルにもガスを供給していた。
またコン・エドとともに天然ガスを供給するナショナル・グリッドも合わせると、2012年だけで9906件のガス漏れがニューヨーク市とウエストチェスター郡で報告されていたことも判明した。
専門家によれば、空気中のガスの濃度が5%に達すると、電気のスイッチを入れる際に発生する静電気だけでも着火し、爆発に至る可能性があるという。
同紙によれば、連邦政府のデータでは過去10年間にニューヨーク市で発生したガス漏れによる爆発事故は、重大なものだけでも22件に及び、そのうち12件が大規模なものだったことが分かっている。また、これらの事故による被害者は死者3人、負傷者は22人に上る(東ハーレムの事故による被害者を除く)。
政府の統計では、配管を一新することでガス漏れは大幅に減るとみられている。このため、ガス供給業者らは数年前から、老朽化したガス管や摩耗しやすい素材のものを取り換えるなどの対策を取っており、特にナショナル・グリッドはこの作業を急ピッチで進めている。
一方、コン・エドも対策を進めてはいるものの、昨年までの3年間でガス管に関する規制違反件数は695件に上っていたことが判明している。
スタンフォード大学で大都市のガス漏れなどを研究しているロバート・ジャクソン教授は、「(ガス管の老朽化が進む米国での暮らしは)ロシアンルーレットのようなもの。運が良ければ何もないが、悪ければ大惨事に巻き込まれる可能性もある」とコメントしている。
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