レストランしんばし

 創業から40周年を迎えるマンハッタンの老舗日本食レストラン「しんばし」が先月リニューアルオープンした。
ミッドタウンのオフィス街に店を構える同店は、日本人はもちろん、国籍を問わず多くのファンを持つ。新しいレストランが生まれては去ってゆくニューヨークで、確固たる地位を築いてきた同店の魅力に迫る。

生まれ変わったレストランしんばし

 ニューヨークの象徴ともいえるビルがそびえ立つミッドタウンのオフィス街に同店はある。今でこそ日本食レストランを探すのに苦労することはないが、寿司屋もラーメン屋も少なかった1974年に暖簾を上げ、今日まで親しまれてきた。
 多くのオフィスワーカーがランチを求めて外にあふれ出す昼時ともなると、そこは〝ランチ激戦区〟と化す。リニューアルして店の雰囲気が明るくなった新生「しんばし」では、ニューヨーカーたちがランチタイムの憩いのひと時を求めて同店を訪れ、お腹を満たす。ガラス張りの店内は陽光に満たされ、居心地よく落ち着いた空間に温もりが加わる。
 ことしの2月からは新しく日本人シェフの大部治男氏を迎え、料理にさらなる磨きをかけている。大部氏は、ミッドタウンで長く存在感を放った高級料理店「稲ぎく」で経験を積んだ大ベテランだ。フランス料理の心得もあり、同氏がつくりだす伝統的でありながらもスタイリッシュな和食は、食べる人を魅了する。

総料理長を務める大部治男シェフ(一番右)率いるスタッフ

五感で感じるメニュー

 創業以来すべての料理に徹底的なこだわりをみせてきた同店は、弁当に入る漬物でさえ店内で漬けたオリジナルを使用するという。調理のすべての工程を手づくりで行い出来上がった料理は、味がいいのは言うまでもなく、丁寧な盛り付けは目でも楽しめる。目の前に供された瞬間に客の表情を明るくし、楽しい気分にすらさせるほどだ。料理を口に運ぶと、食材と真剣に向き合ったシェフの料理への愛情、食べる人への愛情をじんわりと感じることができる。
 季節のメニューとして月に一度、献立が変わる点にも注目したい。同店オーナーの片山氏は、「和食は季節感があってこそ。季節の旨いものを、素材に合わせた調理法で食べられるお任せメニューが一番のおすすめです」と語る。今の季節はフォアグラを使用した寿司や奈良漬巻き、和牛のミルフィーユなど、今この時期にこそ食したいものばかりが並ぶ。
 食の伝統を守りつつ、常に時代の流れに合わせて変化し続ける同店は、まさにニューヨークにおける日本食レストランのパイオニア的存在だ。多くの人から評価を得ているのも、老舗の誇りを保ちつつ、常に探求し続ける料理へのこだわりがあるからこそ。

お勧めメニュー

フォアグラ寿司


クリスタル雲丹


揚げ芋

和牛のミルフィーユサラダ

カフェ49

 併設する「カフェ49」では、名店の寿司ロールがテイクアウトで気軽に食べられるとあって、連日多くの客で賑わっている。弁当は定番の「サバの塩焼き」「牛丼」「チキン照り焼き」「カツ丼」など、午後の仕事のエネルギー補給にうってつけの品々が揃う。弁当のみならず入れたてのコーヒーなどカフェ定番のメニューも豊富で、訪れる客を飽きさせない。弁当などは数量限定のため、ランチタイムはいつもより少し早めにオフィスを出ることをおすすめする。午後5時からはおつまみを注文しながら日本酒が飲める酒バーとしても楽しめる。

イートインスペースもある「カフェ49」

レストランしんばし
7 E 48th St(Bet Madison & 5th Ave)
212-813-1009
月~金:L=11:30am~2:30pm
    D=5:30pm~10:00pm
土:D=5:00pm~9:30pm
定休日:日

カフェ49
12E 49th St(Bet Madison & 5th Ave)
11:30pm~9:30pm
212-813-1009