このシリーズでは、世界のアートの中心地、ニューヨークで起きている様々なアートな出来事や展示についてお伝えしていきます。
初回となるこのポストが出る頃はちょうどアジア・ウィーク・ニューヨーク(AWNY)が開催中です。先週はアーモリー・アートフェア(The Armory)で現代美術コレクター向けの展示やイベントがあちこちで見られましたが、今週のニューヨークはがらっと様相を変えて、東洋古美術一色に染まります。
オークションハウスの年で一番のセールが行われるこのタイミングと連動して、各ギャラリー、美術館も展示のオープニングやイベントを行うので、世界中からこの時期にやってくる超大物古美術コレクター達が市内をせわしなく動き回る忙しい時期です。分刻みでそれぞれのセールを見比べながら入札をするコレクターの超人的なスケジュールは、まるで全盛期のアイドルか、ファッションウイーク時の売れっ子モデルのよう。しかも今シーズンから、オークションハウス最大手2社サザビーズ&クリスティーズ共に、オークション日程を週末にまで延長し、さらに過酷なシーズンが予想されます。
そんな買う側も大変ですが、以前オークションハウスにいた身としては元同僚達が連日永遠にフォーン・バンクで電話入札する大変さを思うと、出る言葉はただ「頑張れ!」です。
それにしても去年この2社だけで一週間にUSD100ミリオン近くも売り上げたのはあっぱれ。そしてそれだけの購買力が集結するタイミングなので、ギャラリーもアートフェア状に集まって展示をし、合同のオープニングレセプションをしたりして、ニューヨークの古美術業界は大賑わい!そんな中、ジャパン・ソサエティーも日本のオリジナル・ポップアートとも呼ばれる「浮世絵」の展覧会を大々的に開催中です。
「お江戸猫めぐり:平木浮世絵コレクションを中心に」展に関わってしみじみ思うのは、「国芳が、いや、こんなにたくさんのメジャーな浮世絵師が、猫好きだったとは! 日本人は昔から猫好きが多かったのですねー」と。猫がいる風景・視点を通しての江戸文化考察ができる、学術的でありながらエンターティニングな一粒で二度美味しい展覧会。日本古美術ファンのみならず、ぜひ猫好きな皆様のお越しをお待ちしております。

Utagawa Kuniyoshi (1797–1861), Chrysanthemums from the series Eight Selected Flowers from the Garden, 1844–48. Color woodblock print, 16 x 22 ½ inches. Courtesy Hiraki Ukiyo-e Foundation.
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ジャパン・ソサエティーギャラリー 6月7日まで開催中
「お江戸猫めぐり:平木浮世絵コレクションを中心に」
www.japansociety.org/page/programs/gallery/life-of-cats
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しば まさこ
ジャパン・ソサエティーのギャラリー勤務。1年の留学に来ただけのはずのNY在住暦は既に14年。オークションハウスなどのアート系&それ以外の仕事を経て、現職では日本美術の普及に関わる様々な活動を行っている。
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