現在でもそのままの名が残るニューヨークの5行政区の1つ、クイーンズ区は英国の支配下にあった当時、スコットランド、アイルランド、イングランドの女王(Queen)であったキャサリン・オブ・ブラガンザをちなんで命名され、それに対し、現在のブルックリン区が、彼女の夫であるキング・チャールズ2世からキングス(王)と呼ばれたことは有名だ。現在も、正式な郡としての名前はキングス群ブルックリン区、クイーンズ郡クイーンズ区となっている。(ちなみに、スタテン島はリッチモンド郡。チャールズ2世の庶子、初代リッチモンド公ことチャールズ・レノックスにちなんでいる。)

では、なぜ「ブルックリン」になったのか。こちらも、歴史とは切り離せない。「ニュー・ヨーク」がかつては、オランダの「ニュー・アムステルダム」だったことは有名だが、ブルックリンはオランダの町、Breuckelen(現在のオランダ語でのつづりはBreukelenだそう)からつけられたもの。今あるブルックリンの地域名も、なんだかヨーロッパの香りがするな、と思ったら、やはり! である。
フラットブッシュは、オランダ語のVlacke bosからきている。訳すとFlatなWoodlandという意味で、木々が生い茂った平地だったらしい。そのままである。
ミッドウッドは、現在のフラットブッシュの南にあるが、当時はあのエリア全体が基本的に森だったことが伺えて、オランダ語のMidwout、Middle-Woodsという意味だそうだ。真ん中にある森。なんと真っすぐな表現だろうか。
ブッシュウィックは、Bosw-ijckでLittle Town in the Woods。現在のブッシュウィック、ウィリアムズバーグ、グリーンポイントを含んでいたそうな。どっちみち、森である。
合衆国の歴史のなかでも早くに遊園地が建設されたことで知られるコニーアイランドは、オランダ語のKonijn、うさぎという意味だそうで、その後に英国の支配下になっても、名称にはConey(またはCony。英語でうさぎの意)をそのまま引き継いだそうだ。英国、律儀! うさぎ島。ご想像の通り、当時あの辺りにはうさぎさんがいっぱいいたそうです。(ヤマダエビス)
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