俳優のジョージ・タケイさんが1日夜、BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)でトークショーを行った。
タケイさんは人気テレビシリーズ「スタートレック」のスールー役として一躍有名に。近年はLGBQTの権利や人権擁護、反トランプ活動を精力的に続けている。諧謔(かいぎゃく)に満ちたツイッターのフォロワーは230万人に上り、世代を超えて支持者が多いことでも知られている。
この日は日系人強制収容所での体験から俳優として歩んだ道、東日本大震災被災者支援活動、トランプ批判まで大いに語った。

トークショーを行ったジョージ・タケイさん (5月1日、photo: Rahar Seger)
「民主主義は偉大にもなれるが脆弱にもなる」 波乱万丈の人生にスタンディングオベーション
ジョージ・タケイさんは1937年カリフォルニア州ロサンゼルスで日系米国人の母と日本生まれの父の間に生まれた。42年、5歳で家族と共にローワー強制収容所に送られ、その後移送されたトゥリーレイク強制収容所を含め5年間にわたり苦難の生活を強いられた。収容所に送られる日の朝の警察が扉を叩く音、乳飲み子を抱き、片方の手に身の回りのものを持ちぼうぜんと涙を流す母の姿、収容所で深く苦悩する父の姿を75年経った今でも忘れられないという。テレビや映画でのキャリアが先行したが、2015年、78歳でミュージカルデビュー。自身の体験を基にした「アレジャンス(忠誠)」制作のきっかけは、日系米国人のたどった歴史を届きやすいかたちで伝えたかったから。
同性愛者であることが公になるとキャリアを閉ざされると性的指向を隠し続けたが05年、シュワルツネッガー知事=当時=の偽善的姿勢へのアンチテーゼとしてカミングアウト。現在は幅広く人権擁護活動に取り組んでいる。
ソーシャルメディアの功罪について聞かれ「憎悪にとりつかれた者は自滅する」とトランプ大統領を痛烈に批判。父の言葉「民主主義は偉大にもなれるが同時に脆弱にもなる」と語る姿が印象的だった。(加藤麻美/本紙)

photo: Rahar Seger
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