3Dプリンターで新しい胸骨 医療現場での新技術活用に注目

 【10日付NY1】事故で胸骨を損傷した女性に3Dプリンターを使って作られた人工骨を移植する手術が、マンハッタン区のニューヨークプレスビテリアン病院で行われ、最新技術に注目が集まっている。
 2014年にジェットスキーの事故に遭ったペネロペ・ヘラーさんは、事故後胸骨に悪性腫瘍ができているのが分かり手術を受けたが、それ以降胸の痛みに苦しんでいた。ヘラーさんは息を吸うたびに胸が押しつぶされるような痛みに悩まされ、1年半後には背中にも激痛が走るようになり、再び診察を受けた。しかし、効果のある薬はなく、理学療法も保険が適用されないと聞かされたヘラーさんは自分で治療法を調べるようになり、同病院のジェフリー・ポート医師にたどり着いた。
 オーストラリアのアナトミックス社がヘラーさんのCATスキャンを基に彼女の骨格モデルを再現し人工胸骨を作製。「3Dプリンターを使えばその人の骨格をそのまま再現することができる。耐久性もあるため今後も活用できるだろう」とポート医師は話している。
 術後数カ月が経ったが、ヘラーさんの痛みは再発していない様子。念願だった大学への進学も決まり、医学を学ぶつもりだという。