日本の薬剤師・薬学博士で、現在コロンビア大学で博士研究員をする樋口聖先生による「米国市販薬(OTC)講座」。胃腸薬や鎮痛剤など、毎回テーマを絞り、OTCの種類や、安全な選び方を教わる。先生自身まだ在米2年。米国のOTCには驚かされることもしばしばだという。「一緒にファーマシーを紙面探訪して、賢い消費者になりましょう!」
第6回「ラベルの読み方」伝授! 上手な説明書の解読法
ファーマシーで薬を選ぶとき、箱や容器のラベル、つまり説明書を一字一句読んで買う人はまずいないと思います。文字はすごく小さいし、まるで英語の暗号ですよね。とは言っても、そこには重要な情報が満載されています。「ここだけはチェック!」というポイントを、日本語に訳しながら解説しますので、年配の方は老眼鏡、必要なら虫眼鏡を使ってでも、ぜひ一度ラベルに目を通してほしいと思います。
■パッケージ裏の「Drug Facts」
チェックしてほしいのは、薬のパッケージ(箱やプラスチック容器)裏に記された「Drug Facts」です。必ず一番上に記されているのが「Active Ingredients=有効成分」、続いて「Uses(用途)」「Warnings(注意事項)」「Directions(服用法、容量)」「Other Information(その他)」「Inactive Ingredients(非有効成分/賦形剤=薬を飲みやすくするための添加剤)」。風邪薬から鎮痛薬、胃腸薬などさまざまあれど、この記載順序は同じで、最も重要な内容が上から順に記されていると思ってください。
■3つのチェック必須項目
「Drug Facts」を全部読みたくない人のために、チェックすべき項目に優先順位をつけてみました。必ずしも重要度の高い順に上から3つではありませんが、消費者にとってとりあえず知っておきたい3項目です。
1位:「Active Ingredients=有効成分」。その成分名と、1錠分もしくは1回分の含有量、効能がここに併記されています。この連載でも、毎回ページ左下の「知っておきたいファーマシー用語」に列記している内容です。
2位:「Directions(服用法、容量)」。1回何錠、何時間おき、1日の服用量限度などの情報が記されています。
3位:「Do not use(禁忌)」。これは「Warnings(注意事項)」の一項目として記されています。文字通り、こういう人(場合)はこの薬を飲んではいけません、という説明です。
■使用期限もチェック
「Drug Facts」の項目にはありませんが、箱・容器のどこかに、必ず薬の使用期限が記されています。「Expiry date」「EXP(expirationの略)」として、または唐突に年月が記されていることもあります。全ての薬は、放っておいても分解が進むので、期限切れの薬は効能を失っているか、または薄れてしまっていることがあります。使用期限は守った方がいいでしょう。
咳止め薬「Mucinex DM」のラベルを例に、「Drug Facts」を説明しましょう。
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知っておきたいファーマシー用語
OTC(Over The Counter)Drug
=一般用医薬品(俗にいう市販薬)。処方せんがなくても薬局で買える薬。
Active Ingredient=有効成分(薬効を示す物質)。薬の箱の裏に明記されている。
樋口聖 Sei Higuchi, Ph.D.
博士(薬学)、薬剤師(日本の免許)。城西大学大学院・薬学研究科修士課程修了、福岡大学大学院・薬学研究科博士課程修了後、京都大学医学部博士研究員。2015年からコロンビア大学博士研究員として、糖尿病の研究に従事。
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