大竹彩子(焼酎&タパス 彩)焼酎とチーズのお話 毎月第4月曜号掲載 第十回

球磨焼酎「吟麗しろ」とベルギーの「レモン・ヴィレ」
 日本には数多くの米焼酎が存在しますが、その中でも特別に「球磨焼酎」と称することを認められている米焼酎があります。

これは米焼酎の産地で有名な熊本県最南部、人吉・球磨地域で造られていることと、米とその地域の地下水のみで仕込むという厳しい条件を満たした米焼酎にだけ世界貿易機関(WTO)から与えられた呼称です。その中でも最大手の米焼酎メーカー高橋酒造がメインブランド「白岳しろ」の新しい顔として2010年に発売した「吟麗しろ」を今回はご紹介します。
 「吟麗しろ」の特徴は何と言っても吟醸酵母を焼酎造りに用いたこと。その名の通り封を開けるとほのかに甘く爽やかな吟醸香が立ち上がります。どっしりとしていて力強いオリジナルの「白岳しろ」とは全く違う表情を持っています。この「吟麗しろ」は一口飲むと気品高い女性を思わせるような、柔らかく、華やかでありながら、余韻は高価な大吟醸を飲んだときのように吟醸香がキリッと凛と立っています。飲みやすさは言うまでもなく、冷やしてワインのようにも飲むこともできます。
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 今宵はこの焼酎に、まだ誕生して間もないにもかかわらず一躍全世界のチーズファンを唸らせた爽やかなレモン味のチーズ、「レモン・ヴィレ」を合わせてみました。こちらは「チーズの魔術師」との異名を持つ天才熟成士のジャッキー・カンジさんによって生み出されました。ベルギーのエノー州で造られているこのフレッシュタイプのチーズは、牛の生乳を原料とし、うれしい脂肪分控えめ。最大の特徴はチーズの名の由来にもなっている「Eau de Villee」というレモンのお酒をたっぷりと加えること。また、外皮にはベルギーの伝統ビスケット菓子スペキュロスがまぶしてあり、他にはないとても珍しく斬新なチーズといえるでしょう。熟成期間がないためクセはなくあっさりとしたその食感に含む柑橘の爽やかな香りは、暑い夏のパーティーの主役になること間違いなしです。
 そこにもう1つ華を添えるべく試していただきたいのが、高橋酒造も推称している「吟麗しろ」のソーダ割り。口の中でチーズから来る心地の良いレモンの酸味と焼酎から来る吟醸香とソーダの爽快さが見事なマリアージュが生まれます。他にはない体験をぜひお楽しみください。
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一口メモ
高橋酒造はメインブランド「白岳しろ」の発売25周年を記念して2010年にこの「吟麗しろ」を発表した際、一緒に「謹醸しろ」も発売されました。こちらは長期貯蔵の樽熟成タイプ。重厚な口当たりと芳醇な香りを楽しむことができます。

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大竹彩子
東京都出身。2006年、米国留学のため1年間ミネソタ州に滞在。07年にニューヨークに移り、焼酎バー八ちゃんに勤務。13年10月に自身の店「焼酎&タパス 彩」をオープン。焼酎利酒師の資格をもつ。

焼酎&タパス 彩
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