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日本クラブは10月31日、国際的に活躍するニューヨーク在住の日本画家、千住博氏の講演会を開催した。
千住氏は美術史を先史時代の洞窟壁画から印象派までの7つの流れに沿って解説。キリスト誕生の絵にハレーすい星を書き込むことでその衝撃を表現、見えないものを可視化したとしてジョットから西洋美術が始まったとした。ダヴィンチはモナリザの顔で人間の喜怒哀楽を初めて表現。4つの感情を足すと「微笑み」になるところに彼の哲学があるとした。日本美術については、光琳が人間の内なる自然を、北斎が残酷な現実を、広重が人々の日常の姿を通して失われたら困る大切なもの(平和)を描いたと話した。浮世絵に強く影響を受けた印象派については代表的作品を通して解説、それぞれ日常を描いたとして西洋美術史の転換点になったと指摘した。
最後に大徳寺襖絵や高野山金剛峯寺襖絵、薬師寺東院堂での展示など自作について述べた後、揉んでしわになった和紙に岩絵の具を垂らす技法から始まった崖シリーズについて触れた。千住氏は東日本大震災後に美術家として何を描くべきかと自問したといい、しわになった和紙を震災後の日本と重ね、傷すなわち現実を直視し、その中に美を見出すことで生きる希望を伝えたいと思ったという。美とは生きる希望であり、元気や勇気を応援するものだと結んだ。

講演する千住氏(photo: 本紙)
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