大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第79回 トレンドに左右される狙い目車両

 皆さんは車を選ぶ際、何を基準にしていますか? もちろん、状況によって異なると思います。「乗りつぶす」覚悟で長く使うなら、「デザインが好き」「装備が充実している」など、その車のことを自分がどれだけ好きかで選ぶのではないかと思います。
 しかし、使用期間が限られた車を選ぶ際には、将来売却するときの価値、いわゆる「リセールバリュー」や「使い勝手が良い」など、実用面が選択基準になります。駐在や留学などの短期滞在の場合は必然的に後者が多くなり、筆者が車の相談を受ける際に最も多く聞かれる質問が「なるべく買いと売りの差額が出ない車両はどれですか?」です。
 車も株価と似ていて、人気によって相場が左右します。違う点といえば、株価は一度下がってもその会社の経営状況によって回復(上昇)することがありますが、車は消耗材ですので品質が良くなることもありません。さらにどんどん新しい製品(改良された車両)が生まれてくるのですから、よほどの例外がない限り価値は下がると考えてよいでしょう。
 そんな中で「購入時と再販時の差がなるべく開かない=相場の下がりにくい車、すなわち価値を保てる期間が長い車」とは、極端に言えば「買うときは不人気だったものが、売るときに人気が出てくる車両」です。
 聞いただけでも「そんな予測立てられないよ…」というため息が聞こえてきそうです。
 そうです。株価と一緒で先を見越して今に投資するのは容易なことではありません。人気がある間は価値が高い、不人気になると価値が下がる−この2点を踏まえると方法はただ1つ、トレンドを見据えて「逆張り」をすることです。
①現状では不人気でもこれから人気上がる可能性がある車を選ぶ
②実際よりも評価が低いが、次第に評価が回復してくると予測できる車を選ぶ
例えば、

 ガソリン代が安いときに、あえてハイブリッド車を買い、ガソリン代が高騰するのを期待する。ガソリン代が高いときに燃費は良くないが名車とされる車を買い、ガソリン代が安くなるのを期待する。
 (転勤や引越しを見越して)冬の降雪地帯でオープンカーや四輪駆動のSUVを買い、春に南部や西海岸で売りさばく。平均走行距離が少ないニューヨーク市近郊(しかも冬季がベスト)でセダンを買い、春先(暖かくなる前)に売却する。カリフォルニア州など、平均走行距離が多い地区で売れるのであればなお良し。

などです。
 人気が安定した車種は買うときも割高ですが、売るときにも割高で売れます。しかし、人気の原因が一過性の「バブル的人気」の可能性があるものは要注意です。コストパフォーマンス(節約)のみを重視するのなら、車選びの基準は、絶対に外せない条件を1つに絞り、その他の条件は思い切って捨て去るといった考え方もあります。ニューヨーク市近郊は「雪がよく降る」との印象が強いため、どうしても四輪駆動のSUVに目が行きがちですが、考えることは皆一緒。道路に雪が積もっている期間が1年のうち平均で5分の1しかないことをどう捉えるかで、選択の幅が広がり、節約のチャンスも大きくなります。

 今回はちょっと意外な見方だったかもしれませんが、皆さんの車選びの一助になれば幸いです。

大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル(現:(株)IDOM)入社。対企業向けのコンサルティング営業部でスーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。その後日米で店長を経験し、現在は全米のEコマース事業を手がける。豊富な知識と丁寧な接客に定評があり、緊急時や時間外も対応。
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