非営利団体「9.11風の環メモリアルコンサート」は11日、マンハッタン区のカウフマン音楽センターのマーキンホールでチャリティーコンサートを開催した。同コンサートは9.11同時多発テロの犠牲者を追悼する目的で白田正樹さんが12年前に創設。東日本大震災発生後は復興支援も趣旨に加え、毎年開催している。
オープニングに登場した風の環少年少女合唱団は、外国語での数の数え方を取り入れた池田綾子作詞作曲の「数え歌」の他、童謡「村祭り」「夏の日の贈りもの」など4曲を歌った。
毎年迎える被災地出身のアーティストとして今年は、宮城県東松島市から男声カルテット「ハラハラシンガーズ」が出演。東松島市の自然を描いた「東松島讃歌」や唱歌メドレー、「雪」「春の小川」などを披露した。最後には息の合ったハーモニーで「ふるさと」を合唱。会場を感動の渦に誘った。東松島市にはアクロバット飛行で有名な「ブルーインパルス」が所属する航空自衛隊基地があり、震災時の米海軍による「トモダチ作戦」遂行の際はここが拠点として使われている。
ニューヨーク在住のピアニスト、三原有利加も登場し、ショパンの2曲を演奏。堂々とした演奏で会場からは大きな拍手が起きた。
後半にはニューヨーク市を拠点に活動するソプラノ歌手の田村麻子がゲストとして出演。カッチーニとグノー作曲の「アベマリア」を、白田さんが率いるジャパン・コーラル・ハーモニー「とも」と共に熱唱した。田村さんは、この曲を9月11日に歌うことについて「災害やテロの犠牲となった人はきっと、『どうして自分だけ?』と思うでしょう。この曲を聴いて少しでも安らかな気持ちになってもらえたら」と明かした。
アンコールでは田村さんとプロの若手弦楽演奏家で結成された「風の環室内アンサンブル」の演奏に合わせマスカーニ作曲の「アベマリア」を歌い上げ、観客からはスタンディングオベーションが贈られた。
公演後、白田さんは「テロから18年を迎え、追悼企画や催しは年々少なくなってきている。コンサートは今後も続けたい」と語った。今回集まった寄付金は全額、東日本大震災の被災地の子どもたちが発行する新聞、「石巻日々こども新聞」に贈るという。

コンサート後の立食パーティーで歌うハラハラシンガーズと白田さん
(photo: Yurika Fukagawa / 本紙)

会場は盛大な拍手に包まれた(photo: Yurika Fukagawa / 本紙)
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