シェルター誘導の新しい取り組み 「迷惑」と嫌がるホームレスも

 マンハッタン区チャイナタウンで先月、ホームレス男性4人が撲殺された事件を受け、ニューヨーク市は14日、ホームレスをシェルターに誘導するための新たな取り組み「アウトリーチNYC」を開始した。しかし当のホームレスはこの取り組みに懐疑的なようだ。ゴッサミストが18日、報じた。
 1900万ドル(約21億円)の予算を追加し、実施する取り組みでは、「ウォールーム」と呼ばれる関連機関指揮センターが設置され、ホームレスに対面でシェルター利用を説得するアウトリーチ職員を180人増員する。また、市公園局など市の職員1万8000人に、ホームレスを見かけたら市の行政相談窓口311のアプリを使って報告するよう徹底する。
 しかし、取り組みを迷惑に感じているホームレスも少なくない。シェルター入居のための複雑な手続きを敬遠し、環境劣悪で暴力がまん延するシェルターで生活することを嫌がる傾向にあるからだ。ホームレスのある男性はゴッサミストの取材に、「支援などまやかし。警察が来て、せっかく見つけた場所を追い払われるだけ」と批判。「目的はホームレスの追跡」と警戒心をあらわにするホームレスも見られた。
 市は、これまでの取り組みで2200人のホームレスに住居を提供したと主張。市が今年1月に発表した調査報告では、2017年より300人少ない3588人の路上生活者が確認されている。