NYの医療施設が経済的苦境 新型コロナの影響で支出増大、収益減少

 ニューヨーク市の医療施設は 新型コロナウイルスに感染した患者に対応するため、経済的苦境に陥っている。ウォール・ストリート・ジャーナルが12日、報じた。
 ニューヨーク病院協会(GNYHA)の会長、ケネス・ラスケさんによると、市の大学病院では、人件費の高騰や設備費、予定されていた手術などの延期による収益の劇的な減少で、月に3億5000〜4億5000ドル(約375億〜482億円)の損失が発生している。特に独立型の医療施設や小さな病院では状況が更にひどく、今後1〜2週間以内に、従業員への給与の支払いが不可能になる医療施設が出てくる可能性も懸念されている。
 一方、米保健社会福祉省(HHS)は10日、病院やその他の医療施設に対する連邦救済基金1000億ドル(約10兆7055億円)のうち、300億ドル(約3兆2110億円)の助成金の支払いを開始した。
 助成金は高齢者向け医療保険制度、メディケアサービスで2019年、多額の支払いがあった施設から給付。しかし、ニューヨーク州ヘルスケア協会のビー・グロース会長は同分配方法について、「助成金の給付を感謝するが、新型コロナウイルスの感染多発地域を優先するべき」と指摘。HHSによると、今後は同ウイルス感染拡大の影響を大きく受けた地域の医療施設や、小児科病院などへの給付を迅速に行うと発表している。