DV被害者、通報を躊躇している可能性 コロナ禍、外出制限に伴うリスクとは

 新型コロナウイルスの感染拡大による外出制限の影響で、権利擁護団体から、家庭内暴力(DV)の被害者が、助けを求めにくい状態に陥っているとの声が上がっている。ゴッサミストが2日、報じた。
 ニューヨーク州やその近郊では、外出制限により、以前は通勤などで外出していた家族が家の中で過ごす時間が増えたため、DV被害が急増することが予想されていた。しかし、これまでにDV被害の増加はみられていない。
 その理由として、DV被害者支援団体は、DV被害が減ったのではなく、「被害者が救いを求めることが困難」になっていることを懸念している。
 ニュージャージー州を拠点に女性の権利擁護活動を行うニュージャージー・ディビジョン・オン・ウィメン(DOW)の代表、アナ・マルティネスさんによると、DVの加害者は、被害者に外部との接触を断ち孤立するよう仕向ける傾向にあるという。そのため、外出制限の影響により、被害者のコントロールと孤立の強要が容易になっていると指摘。また、マルティネスさんによると被害を電話で通報するとき、加害者にその内容を聞かれることを恐れ、通報しにくい状況になっていると考えられる。また保護を求めてシェルターに入居しても、集団生活には感染の危険が伴うため届け出を躊躇するケースもある。
 さらに、感染が拡大する前、DV加害者に被害者への接近を禁止する一時的接近禁止命令(TRO)の発行の半数を民事裁判所が行っていたが、現在は地元の警察のみが行っている。そのため、「加害者に経済的依存をしているため、逮捕されたら困る」と考え被害届を出さない被害者も多いという。 

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