副作用リスクは政治的に無視されるのでは?
それにしても、ワクチンに対する懐疑的な見方が根強いのは、なぜなのだろうか?
最新科学を信じるより、陰謀論を信じる人のほうが多く、さらに、100%安心でないと拒否するという姿勢は、未来を暗くする。日本の専門家の多くは、従来のワクチンのほとんどが副反応を起こしてきたことを引き合いに出し、危険性を指摘する。
アメリカでも、科学誌「サイエンス」が、モデルナのワクチンの治験参加者の副反応に関する記事を掲載した。そのなかで、43歳の治験参加者は、接種部位がガチョウの卵大に腫れあがり、40度近い高熱が出たという。
また、副作用の例として、「倦怠感」「筋肉痛」「関節痛」などを挙げている。
しかし、多少の副作用があっても、リスクは政治的に無視されると私は見ている。なぜなら、新型コロナによる死者は、高齢者で基礎疾患保持者がほとんどだからだ。もはや、この人たちを中心にコロナ対策を考える時期は過ぎた。欧米各国は、ワクチン接種がある程度進んだところで、コロナ対策を緩めるだろう。「収束宣言」を出すところも出るかもしれない。また、コロナをインフルエンザ並みの扱いにするかもしれない。
ただし、この流れに、日本が大きく遅れるのではないかと、それだけが心配だ。
コロナは収束に向かいドル支配は強化される
ワクチン接種によって、集団免疫ができ、感染拡大が抑えられる。それが、いつやってくるかは、いまのところ、予想しても無駄だ。ただし、再来年とうことはないだろう。2021年中であるのは間違いないだろう。
FDA(米食品医薬品局)は、ワクチン接種者のうち感染者が50%減れば、ワクチンに効果があるとして承認するという。つまり、1万人が接種を受け、そのうち100人が発症するとして、この数が50人以下になればいい。これが、これまでの通例だ。
しかし、この縛りをFDAは堅持するだろうか?
とりあえず、来年の春にすべてが元に戻り、「新しい日常」が終わると考えるのは早急すぎる。しかし、このままファイザーとモデルナのワクチンに重大な副作用が出ず、世界中で接種されるようになれば、コロナは収束に向かう。
そうなると、アメリカの世界覇権は強化される。ワクチンの取引はすべてドルである。世界中がドルを求め、ワクチンとの交換でドルをアメリカに戻す。つまり、2021年は、ワクチンによるドルの「帝国循環」が強化されるのは間違いない。
ロシアワクチンはもとより、中国ワクチンは普及しないだろう。
(了)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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