連載1016 2070年人口3割減8700万人の衝撃 じつは実際はもっと深刻! (上)

連載1016 2070年人口3割減8700万人の衝撃 じつは実際はもっと深刻! (上)

(この記事の初出は2023年5月9日)

 

「2070年、3割減8700万人」の衝撃

 先月の26日、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した「将来推計人口」は、2070年に日本の人口は現在の3割減の8700万人になるというものだった。2056年には、大台の1億人を下回る。これは、前回、2017年の推計と比べると、1億人割れの時期が3年遅くなっている。ただし、出生率の見通しは、仮定値の中位のシナリオで前回の1.44から1.36に下方修正している。
 これに基づくと、日本人の出生数は2059年に49.6万人と50万人を割る。すでに、出生数は2016年に100万人を割り、昨年2022年には80万人を割っている。つまり、人口減は子供が生まれなくなることで進み、それにともない、高齢者の人口の比率が高まる。少子高齢化の色がいっそう濃くなるというのだ。
 具体的には、14歳以下の人口の割合は、2050年に10%を割り込む。人数で言うと、2020年の1500万人からおよそ1040万人に減る。その一方で、65歳以上の高齢者の人口の比率は2020年の28.6%から2070年には38.7%に上がる。高齢者の数は2070年に3367万人となる。これは、2020年比で200万人以上減るものの、現役世代の人口減のスピードのほうが速く、社会全体に占める高齢者の比率は高まるという。
まさに、半世紀後の日本は、老いた衰退国家となっているのだ。

甘すぎる出生率予測で少子化スローダウン

 「2070年3割減の8700万人、高齢化38.7%」だけでも衝撃だが、そんなものではすまない。社人研の予測は大甘すぎると指摘する声がある。
 というのは、まず合計特殊出生率の予測が、現在の「1.2台」が2023年を底に上昇して2029年に「1.3台」に回復することとしていることだ。そうして、その後も上昇カーブが続き、2070年に「1.36」になると仮定している。これは、ありえないというのだ。
 もちろん、人口規模の維持に必要な出生率2.07や、政府が目標に掲げる「希望出生率」1.8の達成に遠く及ばない。しかし、「1.36」でも高すぎるというのである。
 なぜなら、今後、出生率が少しでも上がれば、それにともない出生数が増えるというシナリオだからだ。
 このシナリオがありえないのは、出産期(25~39歳)の女性人口の減少が確定しているからだ。少子化は「小母化」である。この視点が抜け落ちている。
 総務省の人口推計によれば、2022年10月1日現在の25~39歳の女性数と、25年後にこの年齢に達する0~14歳の女性数とを比較してみると、0~14歳のほうが25%近くも少ない。出産期の女性数は、25年後には4分の3になってしまうのである。
 これはもう決まっている未来だ。さらに、生涯未婚率などを考慮すれば、やはり社人研の予測は大甘すぎる。
(つづく)

この続きは6月8日(木)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

タグ :