
11月16日、金義桓(キム・ウィファン)在ニューヨーク大韓民国総領事(“金総領事”)が、NY日本人学校を訪問し、同校中等部生徒46人を前に、ときおり日本語も交えて、「こんにちは from Korea – なぜ韓国にはBTSとBLACKPINKができたのか」というテーマで講演をおこなった。同講演には、岡田雅彦校長のほか、遠藤彰首席領事(在ニューヨーク日本国総領事館)、倉西美由紀事務局長(ニューヨーク日本人教育審議会)も参加した。
なぜ世界で韓流ブームが起こっているのかについて、韓国芸能界では、他の韓国業界同様に、デビュー時から、世界市場進出を基準に戦略をたてていること、海外展開において、世界各地に根を張るグローバル韓国企業のネットワーク力を挙げた。また、よいライバル関係にある野球において、日韓の高校野球部数の違い(4,000 vs. 40)を挙げ、韓国の 個々人の長所を活かした特化型システムや “負けず嫌い”の性格などが、世界での韓流ブームづくりにおいて役立っていると述べた。
日韓関係に関しては、“韓国と日本の2000年にわたる関係の中で、関係が悪かったのはたった二度に過ぎません”(文禄・慶長の役と日韓合併)と述べ、2000年におよぶ両国関係のなかで、その計50年あまりの期間を除いては、 “兄弟/姉妹のような関係”、“Give & Takeの関係”、“相互依存関係”であったと述べた。自身も、1960年代に『黄金バット』や『鉄腕アトム』、『マリンボーイ』などの日本漫画をみて育ったとのエピソードも披露した。
また、“ローマ帝国による覇権のもと、地中海における航行の自由確立が、地中海周辺国全体の繁栄に貢献した”という塩野七生さんの『ローマ人の物語』を引き合いに、アメリカによる世界の海での航行の自由確保が、戦後の日韓両国のそれぞれの繁栄において、非常に重要な役割を果たしたと述べ、東アジアの地政学的リスクに鑑み、アメリカを含む民主主義を尊重する日米韓3ヵ国のさらなる協調の重要性述べた。 最後は、今後の両国関係強化において、大人たちだけでなく、次世代を担う子供たち同士の積極的な交流が必要と述べて、講演を締めくくった。
講演を聞いた生徒たちからは、“時々日本語で話し、なるべく翻訳せずに自分の言葉で伝えてくれたのが印象的だった”(五上菜穂さん)、“話を聞くまでは、日本と韓国は不仲のイメージがあったが、講演を聞き、これまで遠い存在であった韓国が身近に感じられた”(小峰遥菜さん)というコメントに加えて、“これから先の不透明な世界情勢の中でも、お互いをよい方向に導く関係であることが重要だ”(山田晴仁さん)、“世界のより多くの国々と友好関係を築いていくためには、これからの日本をつくる私たちが、他国の人々から信頼される対象になることが大切であり、今こうして海外にいる私たちは、日本の顔として見られるという意識を持っていなければならないと思った”(岩下結子さん)という力強いコメントも挙げられた。

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