米大統領選の最大の争点となった「移民問題」 トランプ断然有利とされるが大波乱も!(下)

トランプが批判「この国は狂っているのか」

 バイデン政権は、 2019年4月に、移民・関税執行局、税関・国境警備局などの国家機関に対して、「illegal」を使わず、「irregular」あるいは「undocumented」を使うようにガイダンスを出している。
 よって、反省の弁となったのだが、なんでこんなことを謝罪しなければならないのかわからない。唯一、合理的な理由は、謝罪することによって左派の支持を失わないということだろう。
 もちろん、この迷走劇に、トランプは即座に反応、攻撃にした。9日、ジョージア州での選挙集会に合わせて、当の女子大学生の遺族や友人と面会し、バイデンを激しく攻撃した。
「バイデンは演説で彼女の名前を正しく発音しなかった。さらに殺人者を“illegal”と呼んだことを謝った」
「リベラルたちは、不法移民を“ neighbors”(隣人)とか“new comers”(新たに来た人)と呼んでいる。この国は狂っているのか」
 この件に関しては、どうみてもトランプの言っていることが正しい。「不法移民」は不法移民であって「合法移民」ではないのは事実だからだ。アメリカは移民がつくった「移民の国」である。しかし、不法移民がつくった国ではない。

最年少女性議員ケイティ・ブリットの演説

 CNNの報道で知ったが、共和党最年少女性議員ケイティ・ブリット(アラバマ州選出、42歳)の、バイデン演説に対する反論演説は傾聴に値するものだ。
 以下、長くなるが、CNNの記事を引用する。
《「今や非常に多くの家族にとって、アメリカンドリームは悪夢となった」「本当の、ありのままの一般教書演説は、以下の言葉で始まり、終わる。我々の家族は傷ついている。我が国にはもっとできることがある」と、ブリット氏は語った。反論演説はアラバマ州の自宅のキッチンテーブルから行った。
 共和党指導部は、42歳のブリット氏の発言を同党の新世代を代表する声と称賛。81歳と史上最高齢の大統領であるバイデン氏との差別化を図る狙いがあったとみられる。
 共和党はバイデン氏の年齢を理由に挙げ、2期目を務めるべきではないと指摘しているが、自党の大統領候補であるトランプ氏も77歳と高齢であることに変わりはない。
 ブリット氏は「自由世界に、優柔不断で衰え行くリーダーはふさわしくない」「米国にふさわしいのは安全な国境、安定した物価、安全な街路、強い国防こそが真に偉大な国の土台となることを理解しているリーダーだ」と強調した。 演説の中で同氏は移民と国境の問題に焦点を当て、バイデン氏の国境政策を「分別がない」「恥」と非難。
 続けて先月遺体で発見された22歳の女性について言及した。警察によるとこの女性は、国境を違法に越えた男に殺害されていた。
ブリット氏は経済についても、実態を把握していないとバイデン氏を批判。現政権の下、家計は苦しくなり、地域社会の安全や国の治安は損なわれていると訴えた。》

この続きは4月9日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

 

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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