
グランドセントラル駅の入り口から長く続く列。先を辿って見ると・・・そこにあるのは小さな自販機。しかもよく見てみると、みんな小さな紙を手にしている。そう、今ニューヨークの街角では、自販機で販売されている「プリント」がプチ話題となっているのだ。
◆ 価格は1ドル、きっかけは「ランドリーのコイン」
流行りの発端は、言わずもがな TikTok やインスタグラムの動画で、コインを入れると小さなベンディングマシーンからニューヨークモチーフのゆるりとした絵柄のプリントが出てくるというもの。たった1ドルかつ、愛らしいイラストなのでちょっとしたギフトにも使える、そして何よりも「ノスタルジック!」と若者の間で人気に火がつき、現在はマンハッタンに3カ所、ブルックリンに4カ所設置されている。

そもそもなぜこの時代に自販機でプリントを販売することに? このプロジェクトを始めたのは、ブルックリン生まれのアーティスト、アナ・インシアーディ(Ana Inciardi)さん。もともとはランドリーで使うクォーター(25セント)が不足していたことがアイデアのきっかけで、この自販機の形はアナさんが街中で見かけたタトゥーシールマシーンから着想を得たという。

2022年の冬にスタートしてから、「ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)」で扱われたことで軌道に乗り、現在は街に点在する自販機が各SNSに投稿され、さらに注目を集めている。街角のフォトブースにフィルムカメラ、アナログのゲームにレコードバーなど、ニューヨークでのアナログ文化の復活が止まらないではないか。
◆ 実際に行ってみた!列に並ぶこと15分・・・
筆者が訪れたのはグランドセントラル駅。列に並ぶこと約15分、ようやく順番が回ってきた。列に並んでいる間、お札をクォーターに変えてくれる係の人が回ってくるというやさしいサービスも付いていて、少々驚いた(もし回って来なくても、隣のギフトショップで代えてもらえる)。

いざ順番が回ってきたので、まずは1回。包みに入った「黒猫」をゲットした。せっかく来たのだから!という好奇心から1度でやめることはできず、計4回やってしまった。

デザインはメトロカードや街の標識、駅の時計台などどれもニューヨーク由来のものばかり。なので列を作っているのは「観光客だろう」と思いきや、ざっと見た感じ8割がローカルの若者、家族連れ、そしておそらく娘さんに「回してきて」と頼まれたであろう仕事帰りのお父さんが何人か・・・で列が構成されていた。

忙しないニューヨーカーが「ノスタルジックなひととき」に浸ろうと、小さなプリントの自販機に列を成す光景。うん、なかなか面白い。同マシーンの設置場所は、公式サイトのマップで紹介されているので参考にしてみて。
取材・文・写真/ナガタミユ
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