イーストビレッジにある蕎麦屋で、日本で唯一「蕎麦打ち」が必須科目となっている北海道幌加内(ほろかない)高校の高校生を招いた蕎麦打ち体験が行われた。「日本の若者が頑張る活力になれば」と、同店を経営するT.I.C.レストラングループ代表の八木秀峰ボンさんが直々にオファーしたことから始まった同プロジェクトを取材した。

人口がたったの1200人、そして日本一の蕎麦の生産地として知られる北海道幌加内町にある同高校では、2005年から「蕎麦打ち」が必須科目として組み込まれており、卒業生の中には実際に蕎麦打ち職人としてドイツへと旅立った学生もいるほど。近年はメディア露出も増えるなど、日本中から注目が高まっている。
ニュース番組で幌加内高校が特集されているのを偶然見たという八木さんが、「若い世代を応援したい」と、ニューヨーク招聘を決意。オファーから約1年後のこの日に実現し、高校2年生の作田康喜さんと野口翔さん、そして大森拓先生の3人が蕎麦屋で蕎麦打ち体験を行うこととなった。

(左から)大森拓先生、高校2年生の作田康喜さんと野口翔さん
同店の蕎麦打ち場所は、入り口入ってすぐのガラス張りのショーケース。来店客がライブで眺められるような造りとなっているため、高校生らもニューヨーカーに見守られながら蕎麦打ちに挑戦した。生徒の1人野口さんは、「ニューヨークという場所に衝撃を受けています。蕎麦打ちは日本でもここでも難しいことに変わりはないですが、この体験を糧にして世界で働いてみたいと、これまで考えていなかった選択肢ができました」と、目を輝かせていた。

実際に彼らが打った蕎麦を“ざる蕎麦”で実食したが、蕎麦特有の弾力の良さと鼻に抜ける香りなど、なかなかの出来栄え。試食した八木さんも目を細め「おいしいよ!」と、作田さんと野口さんそれぞれに励ましの声をかけていた。

今回のプロジェクトについて八木さんは、「世界に出て、蕎麦打ちをお客さんの前で体験することによって、自分たちがこれまでやってきたことが正しいのか判断できるし、ここで得た知見を広めて、他の学生たちにも『ニューヨークで蕎麦は通用する』ことを知ってほしい」と語り、若者のチャレンジに期待を込めた。
取材・文・写真/ナガタミユ
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