2025年3月6日 NEWS DAILY CONTENTS

NYのレストランが戦々恐々 関税発動で、アボカド50セント高か「タコス1枚に8ドル払う…」

卵を筆頭に上昇を続ける食料品の値段。トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国に対して関税を発動したことで、さらに高くなる恐れがある。ニューヨーク市内のレストランは、戦々恐々としている。イーターNYが5日、伝えた。

かつては1枚2ドル前後で食べられたタコスも5ドル超えがザラ。ニューヨークでは
Cheap Eats(格安外食の店)がなくなりつつある。写真はイメージ(photo: CrafterChef / pixabay)

このところ消費量が増えているアボカドは約9割がメキシコからの輸入。今回の関税でアボカドの値段は50セント上がるとの試算がある。「そうでなくても、毎週値段が上がっている」とこぼすのはマット・ディアスさん。ブルックリンのメキシカンレストラン「For All Things Good」のオーナーだ。「関税でさらに上がるとなると、コスト計算を見直さなくてはならない」と頭を抱える。

「Taqueria El Chato」のオーナー、クリス・レイスさんはメキシコ産品の輸入業者から「全ての商品が関税の影響で25%上がる」と伝えられた。「タコス1枚に8ドル払う客がどれだけいるか疑問だ」とため息をつく。

ただ報復関税で一部食料品の値段が下がるとの観測もある。例えば、中国が報復関税にアメリカ産牛肉を含めれば、牛肉は市場でだぶついて値段が下がる。そうは言っても、今回の貿易戦争が短期間に終結してほしいというのがレストランのオーナーの本音。ディアスさんは「関税で得をする人は誰もいない」と声を大にする。

飢餓と貧困問題に取り組む非営利団体 Share Our Strengthが運営する全米キャンペーン No Kid Hungryがニューヨーカー1596人を対象に実施した最近の世論調査では、過去12カ月に食費が賃金以上に上昇したとする回答者が全体の86%に上った。そのため53%は、負債が膨らんだとしている。特にヒスパニック系市民の73%が、債務増加を指摘する。こうしたインフレの影響は市民の健康にも悪影響を及ぼす。63%がメンタルヘルス悪化、52%が身体的健康の被害を訴えている。

編集部のつぶやき

「卵30ケースは1年前30ドルだったが、今は160ドル。バター1本は、2.5ドルから8ドルに。上がらないのは、酒類だけ」と嘆くのはご近所メキシカンレストランの経営者。卵価格の高騰は鳥インフルエンザという特殊要因だが、関税が「泣きっ面に蜂」に。関税が「アメリカを豊かにする」とトランプ大統領は言うが、実は庶民の借金が増えるという記事。(K.T.)

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