親パレスチナ派の学生による反イスラエル抗議活動の拠点となったコロンビア大学は21日、トランプ政権による助成金4億ドルの凍結解除を求めて政治的抗議活動に対する規則とセキュリティ慣行の全面的な見直しに同意した。これに対し多くの教授や学生は、政権に対する見返り(降参)であると反発。一方、保守派の批評家たちは、アイビーリーグでの「遅すぎた正義の是正」として歓迎している。今回の譲歩は、学問と言論の自由における重大な転換点とみなされている。ニューヨークタイムズが22日、伝えた。

コロンビア大学の暫定学長であるカトリーナ・A・アームストロング博士がキャンパス宛てに送った書簡によれば、政権の要求に応えて同大学は反ユダヤ主義の公式定義を採用し、逮捕権限を持つ学内治安部隊を雇用し、中東・南アジア・アフリカ研究学部を上級副学長の監督下に置くことを約束。しかし、トランプ政権は政権発足以来、精査を開始したコロンビア大学やハワイ大学、ハーバード大学など数十校に対して、他にどのような譲歩を求める可能性があるかについてを公にしておらず、政権側がコロンビア大学の申し出を受諾するかは不明。同大学の理事会は、政府との協議を通じて「コロンビア主導」の改革案を提示したと釈明。「コロンビア大学の学術的卓越性、自由な探究、深く根付いた表現の自由という揺るぎない原則を守ることに専念している」と主張している。
保守系シンクタンク、マンハッタン研究所の上級研究員で活動家のクリストファー・ルフォ氏は発表を受けてSNSに「コロンビア大学が折れたことで、他の大学も追随するだろう」と、さらに「これは始まりに過ぎない」と書き込んだ。
全米教授権利擁護団体アメリカ大学教授協会のトッド・ウォルフソン会長は「1950年代にマッカーシー上院議員が共産主義者を追放(赤狩り)して以来の、学問と言論の自由に対する最大の侵害」と非難。プリンストン大学のクリストファー・L・アイスグルーバー学長はテレビのニュース番組で「学問の自由は大学の根本的な原則。大学がその点について譲歩することには懸念がある。一度譲歩してしまうと、その後も譲歩を続けざるを得なくなるからだ」と語った。
編集部のつぶやき
ユーミンが作詞作曲、バンバンが歌った(ふるっ)「いちご白書をもう一度」、ご存知ですか?「いちご白書」は、1966年から68年にかけてコロンビア大学で起きた大学紛争に参加したジェームズ・クネンが書いたノンフィクション作品と同作品を原作にした映画(70年公開)で、日本でも当時、話題になりました。学生運動の歴史で有名なコロンビア大学が、これを機にどのように変わっていくか気になります。(A.K.)
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