ニューヨークを代表する建築物の一つ、ミッドタウンのクライスラービル。1940年代中頃まで展望台が存在していたことはあまり知られていない。シークレットNYCが21日、伝えた。

クライスラービルは、クライスラー創業者、ウォルター・クライスラーが私財を投じて建造。全長1046フィートの77階建てで、開業は1930年だった。金融街のウォールタワー(40 Wall St.)に競り勝ち、鉄骨造りのビルとして世界一の高さを誇った。尖頭部分の71階には「セレスティアル」という名の展望台があった。広さ900平方フィートの回廊で、中央にはクライスラーが技師だった頃に愛用した道具箱が展示されていたという。当時の価格50セントで四方を見渡すことでき、ニューヨーカーから人気を博した。
セレスティアルは「天空の」という意味。アーチ型の天井には星々が描かれ、星をモチーフにしたガラス細工も吊り下げられていた。窓は三角形で奇抜。天空に届くように作られたアールデコ調の外観と調和していた。
ところが翌年にオープンしたエンパイア・ステート・ビルに「世界一高いビル」の座を奪われると、展望台の人気も急降下。高さだけでなく、小さな三角窓からの眺めは見晴らしの面からも劣っていた。
セレスティアルは一夜にして閑古鳥が鳴くようになって、45年には閉鎖の憂き目を見る。そのスペースにはしばらくの間、ラジオやテレビ放送用の送信機器が置かれていた。その後、オフィスに改装され、今に至っている。
たった15年の“短命”展望台。ほとんどのニューヨーカーの記憶からも消え、知られざる存在になってしまった。次にクライスラービルを見上げるときには、尖塔部分に目を凝らし、星がきらめく展望台に思いを馳せてみることにしよう。
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