欧州の王室は性別に関係なく長子優先
伝統とは、時代の流れのなかで、常に書き換えられていくものだ。欧州の王室は、そうして継続し、国民の理解、敬意を得てきた。
その結果、欧州の王室の次代の国王は、ほぼ女性となった。これは、男子継承を改めて、性別に関係ない直系長子継承に変えたからだ。そうでないと、現在の男女平等社会では、王室の持続は不可能だ。
たとえば、オランダ王室は、1983年に法改正し、それまでの男子優先を廃止して性別に関係なく長子優先とした。ノルウェー王室、スウェーデン王室、ベルギー王室もそうである。
その結果、オランダでは、国王の弟が王位継承権を放棄し、国王夫妻の長女カタリナ=アマリア王女が、次期国王になることが決まった。カタリナ=アマリア王女は22歳と若く、国民に絶大な人気がある。オランダ王室は、日本の皇室と親交があり、王女は愛子さまと面識がある。
オランダでは国王の長女が王となるのに、日本では天皇の長女が天皇になれない。世界的に見て、これは異常ではないだろうか。
皇位継承順位は決まっているので無理では?
愛子天皇待望論に釘を差すのが、すでに次期天皇は秋篠宮さま、その次は悠仁さまと決まっている、いまさら、皇位継承順位を変更することなどできるのか?という反論だ。
しかし、結論から言えば、それは可能だろう。なぜなら、皇位を正式に継ぐ皇太子が、現在、存在しないからだ。秋篠宮さまも悠仁さまも、皇位継承順位として1位、2位にあるということで、正式な意味での皇位継承者として決まっているわけではない。
2020年11月に秋篠宮さまの「立皇嗣の礼」が行われたが、これは皇位継承順位の第1位を確認する儀式である。この儀式によって、次期天皇が確定したとは言い切れないのだ。
したがって、早急に皇室典範の改正が行われ、「男系男子」が「直系長子」と改定されれば、敬宮愛子内親王が皇太子となり、正式に皇位を継ぐことが可能になる。
皇室典範の改正で愛子天皇は誕生する
日本国憲法は、第1条で「天皇は日本国の象徴であり、国民統合の象徴」と定め、第2条で「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とある。
憲法には、男性優先の規定はない。したがって、まず、皇室典範の第1条の「男系男子」を「直系長子」に変え、それに伴って他の条文を改正すれば、愛子天皇は誕生する。ただし、その改正は早ければ早いほどいい。そうでないと問題が生じる。
たとえば、現在の国会審議のように、結論を先送りし続けると、次期天皇に秋篠宮さまが即位する日が訪れる。そして、皇統は傍系に移ることになる。
すると、それ以後に女性天皇を認める改正を行った場合、その次の天皇は秋篠宮家の長子の眞子さまは結婚して皇籍離脱されているので、次女の佳子さまということになる。もちろん、改正しなければ悠仁さまになる。
華々しい報道により日本の伝統
いずれにせよ、国民が愛子天皇誕生を強く望むいまが、改正すべきときである。このタイミングを逃すと、日本に女性天皇は永遠に誕生せず、皇統はいずれ行き詰まる。もし、後継の悠仁天皇に男子が誕生しなかったら、それが現実化する。
愛子さまが皇太子になられる立太子の礼と、天皇即位式典は、内外に華々しく報道され、日本のイメージは大きく変わるだろう。愛子さまが、長い歴史のなかで9人目の女性天皇になられることで、日本が女神である天照大神を皇祖神とし、古代から女性を尊重していたということが広く世界に知れ渡る。
これこそが、本当に皇室の伝統を守ることではないだろうか? 男系だろうと、女系だろうと、皇統はつながっていく。(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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