2025.06.06 COLUMN 山田順の「週刊 未来地図」

山田順の「週刊:未来地図」 「愛子天皇」歓迎の読売社説が大波紋!なぜ保守派は「男系継承」にこだわるのか?(上)

新年(令和7年)を迎えられた天皇ご一家、愛子さまこそ次期天皇にふさわしい©︎宮内庁 HP

 国民世論によって天皇は決められない。しかし、決められるとしたら敬宮愛子内親王になるのは間違いない。各種世論調査では、ほぼ8割の支持がある。
 こうした背景もあり、先ごろ、読売新聞が「女性天皇」ばかりか「女系天皇」まで容認するとした提言を公表し、保守派、右派の大反発を招いた。
 天皇制は日本が守るべき伝統だが、男系にこだわることが、本当に伝統を守ることなのか?「男系継承による万世一系」は、フィクションではないのか?
注:今回の記事は、この後、再編集して「Yahoo!ニュース」に寄稿する予定です。

読売新聞の天皇制への提言の中身とは?

 さる5月15日の読売新聞は、多くの紙面を割いて天皇制の特集を組んだ。最大の注目は、1面の提言。ここで、読売新聞は、「皇統の安定 現実策を」との見出しを掲げ、次の4つの提言をした。

(1)皇統の存続を最優先に 安定的な皇位継承を先送りするな
(2)象徴天皇制 維持すべき 国民の支持に沿った方策を
(3)女性宮家の創設を 皇室支える皇族数が必要
(4)夫・子も皇族に 与野党は合意形成に努めよ

 そして、3面の社説では「皇統の存続最優先に考えたい 女性・女系も排除すべきでない」との見出しを掲げ、保守を標榜する新聞としては画期的な「女系天皇容認論」を打ち出したのだ。

国会審議を超えた女性天皇、女系天皇の容認

 読売提言の(1)と(2)に、異論を唱える人間はいないだろう。しかし、(3)(4)となると、これは、現在、有識者を入れた国会の審議会で議論されている方向とは大きく異なる。
 国会審議は、かつて小泉内閣のときに女性天皇を容認するところまでいったのにも関わらず、秋篠宮家に悠仁親王が誕生すると、この問題を棚上げしてしまった。そうして、男系による皇統の存続に欠かせない宮家の数をどうするかという点にばかりこだわっている。
 つまり、「皇室典範」にある男系継承そのものをどうするかを審議から外しまっているのだ。
 しかし、読売提言は、女性宮家の創設と、女性皇族の夫と子も皇族にするように要望している。さらに、女性天皇はもとより、女系天皇の可能性を排除しないように求めたのである。
 この提言を実現させると、皇統は現天皇の徳仁陛下の1人娘、愛子さまが継ぐことになり、女性天皇が誕生することになる。さらに、その先に、愛子天皇の子息が天皇になる道が開ける。

「女系天皇などありえない」と保守派大反発

 この読売提言に対して、保守派、右派論壇、右派識者はいっせいに反発した。産経新聞は、読売新聞に対して提言の真意をただす記事を掲載し、自民党国会議員の多くが提言に反対するという見解を公表した。
 その1人、“コバホーク”こと小林鷹之前経済安保相は、「X」で、読売紙面を引用し、「女系天皇などありえない」というひと言で絶対反対を表明した。
 自民党の松本尚衆院議員は、(62)は、「読売新聞がこのような記事と社説を載せるとは驚きました。旧皇族の男系男子の養子案を進めるべきだし、女性皇族の夫子は皇族にしてはいけないでしょう」などと、記者に述べた。

この続きは6月10日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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