2025年8月7日 NEWS DAILY CONTENTS

白づくめの4000人がNYに集結、世界を席巻する「謎のピクニック」を知ってる?

白いドレスコードでピクニックを行う「Dîner en Blanc(ディネ・アン・ブラン)」(photo: Dîner en Blanc提供)

ドレスコードは “全身白” で、場所は非公開。当日になって集合場所が明かされ、街のどこかで突然ピクニックが始まる。そんな謎に包まれたイベント「Diner en Blanc(ディネ・アン・ブラン)」が、今年の9月にニューヨークで開催される。

「Diner en Blanc(ディネ・アン・ブラン)」過去のイベントの様子(photo: Diner en Blanc提供)

映画の世界に迷い込んだようなこの不思議なイベントは、今や40か国以上に広がり、毎年多くのリピーターを生み出す世界的人気企画へと成長している。その理由を探るべく、ニューヨーク開催の仕掛け人であるサンディ・サフィ(Sandy Safi)さんに話を聞いた。

◆ 過去には日本でも開催されていた

1988年、すべてはパリの公園で始まった。創始者のフランソワ・パスキエ(François Pasquier)さんが「白い服で集まろう」と友人たちに声をかけたのがきっかけ。以来、同イベントは口コミで広がり、2009年にカナダ・モントリオールへ。そして2011年についにニューヨークへ上陸した。

オールホワイトを身にまとった参加者たち(photo: Diner en Blanc提供)

「ニューヨークは世界中が注目する都市で、トレンドが集まるショーウィンドウ的存在。アメリカでこのコンセプトがどう受け入れられるかを見たかった」と、サンディさん。ニューヨークでの初開催後は狙い通り注目が集まり、アジアや中南米からも開催の問い合わせが殺到。それが、今や世界120都市以上で展開されるまでに至った。

実は、日本でも2015年に東京で開催されているが、たった一度だけでその後は続かなかった。その背景には、建物や人が密集する土地柄が影響し、公共空間の使用が思うようにスムーズに進まなかったという。だが参加者の満足度は高く、アンケートでは91%が「次回も参加したい」と回答していた。

2015年の日本開催(photo: Diner en Blanc提供)

「今ならルールも変わってきているはず。再挑戦したいという気持ちは強くあるし、日本は美しいものを生み出す最もクリエイティブな国のひとつなので、ぜひ再挑戦したいと思っている」

2015年の日本開催(photo: Diner en Blanc提供)

◆ 一体どんな人たちが集まるのか?

同イベントには、白オンリー(オフホワイトやベージュはNG)のドレスコードや椅子、テーブル、そして食事も持参という、という一般的なイベントとは一味違ったルールがあるが、人々はこぞって集う。ゲストの約70%がリピーターというから驚きだ。

開催場所は当日に知らされる(photo: Diner en Blanc提供)

「人と人が、ただ一緒にごはんを食べる。テクノロジーや忙しさから少し離れて誰かと繋がる。そんなシンプルな喜びを求めて、人々は足を運んでくれるのです」

参加者の年齢層は20代から70代までと幅広く、料理やファッション、インテリアなどにこだわりを持つ人が集まる。どこの都市でも共通しているのは、 “人と交わりたい意志” を持つ人たちだが、都市によって “彼らの楽しみ方” においては特色が出るようで、「食べ物・音楽・見た目・注目するポイントが都市ごとに全然違うので、それがまた面白い。中でもニューヨークはファッション性が高い街なので、参加者の着こなしがかなりユニークです」

ニューヨークの参加者はファッションにこだわる傾向に(photo: Diner en Blanc提供)

Diner en Blanc NYC 2025

今年の「Diner en Blanc NYC」は、9月19日に開催予定。参加枠は約4000人。チケット販売はすでに開始されており、ウェイトリストには毎年10万人近くが入っているので早い者勝ちとなる。また今年は、初めてミシュラン星付きシェフ、ダニエル・ブールー(Daniel Boulud)監修のプレミアム・ピクニックバスケット(2人分:115ドル〜)も用意される。

会場
当日まで非公開(指定集合場所からボランティアが案内)
服装
全身白(帽子や靴も含む)
持参物
白いテーブル、椅子2脚、食器、食事(ピクニック形式)
テーマ
Blooming Elegance(花咲く優雅さ)。花をモチーフにした装飾やスタイルが推奨
公式サイト
https://newyork.dinerenblanc.com/city
公式インスタグラム
https://www.instagram.com/dinerenblancnyc/

取材・文/ナガタミユ

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