
とうとう、AIがあらゆるビジネス活動、社会活動、軍事まで行う時代がやってきた。そんななか、もっとも注目されているのが「ヒューマノイド」(人型ロボット)だ。生成AIが登場して以来、開発は加速度的に進み、いまでは、ほぼ人間並みのタスクができるようになった。
そのため、世界中のテック企業、スタートアップが、次世代ヒューマノイドの開発に血眼になり、投資家は巨額投資を繰り返している。先ごろ、NVIDIAの株価が史上初めて4兆ドルを超えたことが、ヒューマノイド時代の到来を表している。
はたしてこの先、人間がやることはすべてヒューマノイドに置き換えられてしまうのだろうか?
■生成AIの登場以来、AIは加速度的に進歩
「消費減税」だの「現金給付」だのと、目先だけの公約で争われた参議院選挙が終わった。その結果はともかく、日本の政治家たちに決定的に欠けていたのが、この先の社会に対する想像力の欠如だ。
これがないから、どんな政策も「目先の弥縫策」となり、日本経済の復活などできないばかりか、結果的にますます衰退させてしまうことになりかねない。
その点、民間は違う。一部の未来を見据えた企業人、投資家たちは、生成AIの登場以来、さらに高度なAIの開発、投資に邁進している。そのため、AIは日進月歩、加速度的に進化している。
■10年以内に人間並みのヒューマノイドができる
彼らが確信しているのが、「ヒューマノイド」(人型ロボット)の時代が来ること。最近は、「フィジカルAI」とも呼ばれ、人間と同じカラダを持ち、同じ頭脳を持ち、人間のできることならなんでもできるロボットが、社会のあらゆる分野で活動する。そんな時代だ。
すでにヒューマノイドは、単純作業なら人並みに可能になっている。たとえば、「ゴミを片付けて」と言えば、ゴミを探し、それを拾って捨てる。そういう作業を自律的に行える。
最近、私が会った30代のIT企業の幹部は、こう、はっきり言った。
「いまのスピードですと、あと10年以内、いや5年ぐらいで、ほぼ人間と同等のヒューマノイドができます。それは、工場はもちろん、運送現場、飲食現場などで人間の代わりに働くことになります」
■時価総額4兆ドルは日本のGDPに匹敵
先日、NVIDIAの株価の時価総額が4兆ドルを超えたことが大きく報道された。時価総額4兆ドル達成は史上初の快挙。これまで、どんな企業も達成したことがない。
4兆ドルというのは、1ドル150円換算で600兆円。ほぼ日本のGDPに匹敵するという、途方もない額だ。それを一企業の株価が達成してしまうのだから、驚くべき時代がやって来たと言えないだろうか。
NVIDIAの時価総額は、約2年前の2023年5月に1兆ドルを突破し、このときも大きな話題になった。そして、それから約半年で2兆ドルを突破、昨年の2024年6月には3兆ドルに達し、いまや4兆ドル台というわけだ。
NY市場は、現在、NVIDIAの1銘柄だけで、S&P 500の7%以上、ナスダック100の17%近くを占めている。
この続きは8月26日(火)発行の本紙(ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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