2025年10月23日 NEWS DAILY CONTENTS

NY・チャイナタウンで何が? ICEの強制捜査に議員・弁護士が激怒、司法長官が市民に協力呼びかけ

21日午後、マンハッタン・チャイナタウンの路上で行われた移民関税捜査局(ICE)による強制捜査を受けて、ニューヨーク州選出の議員や弁護士などから反発の声が上がっている。レティシア・ジェームズ司法長官は22日、現場に居合わせた者やICEの活動を目撃・記録した市民に対し、写真や動画を司法長官事務所に提供するよう呼びかけた。NYデイリーニュースゴッサミストが同日、伝えた。

Eyewitness News ABC7NYのYouTubeチャンネル、https://www.youtube.com/watch?v=KMiW4t2L080からスクリーンショット=2025年10月21日)

強制捜査ではICEや連邦捜査官など約50人と装甲車が出動。西アフリカ系移民5人と、アメリカ国籍保持者4人を逮捕した。国土安全保障省(DHS)はこの摘発を「偽造品取引を対象とした情報主導の取締り」と説明している。

NY司法長官、「報告を精査し、法違反の有無を評価

ジェームズ氏は声明で「全てのニューヨーカーは恐怖や威圧なしに生きる権利を有する」と述べ、「昨日、ICEの活動を目撃し記録した人は、その映像を当事務所に提供するよう強く要請する。われわれはこれらの報告を精査し、法違反の有無を評価する。いかなる者も違法な尋問、拘束、威圧を受けるべきではない」と強調した。

司法長官のウェブサイトからアクセスできるオンラインポータルでは、目撃者に連絡先情報と実際に目撃した内容の詳細を提供するよう求め、提供された文書・写真・動画の司法長官による法的手続きでの使用に同意するよう要請している。

キャナルストリートを含む選挙区選出のダン・ゴールドマン下院議員(民主)は、当局が「移民を標的にすることで暴力を煽り、トランプ政権に(ニューヨーク市への)軍隊投入の口実を与えようとしている」と非難。同議員は、21日の強制捜査に関与しなかったニューヨーク市警察(NYPD)に対し、ICE捜査官が過剰な武力行使を行うのを目撃した場合、その捜査官を逮捕するよう求めた。

「公共の場所で、外見で判断し、礼状なしに逮捕」

ニューヨーク市民自由連合のエイミー・ベルシャー上級弁護士は、覆面捜査官や軍事装備の公開は「ニューヨーク市における移民当局による初の大規模な示威行動の一つで、ニューヨーカーに衝撃を与えるための演出だった」と指摘。同氏はさらに、この摘発はシカゴや他のアメリカの都市でのICEの行動と同様の手法ー捜査官が外見に基づくプロファイリングを行い、広範な網を張って人々を拘束ーを踏襲したように見えると語った。「犯罪活動に基づくという主張は、現時点で判明している情報に基づけば、完全に口実に過ぎない」

ベルシャー氏はICEについて、「彼らは公共の場所にただ入り込み、移民のように見える人物を探している」と断言。「シカゴやロサンゼルスで目撃されているのはまさにそれで、さらに共通する特徴として、移民の逮捕が令状なしに行われている」と明らかにした。

偽造品販売が横行するチャイナタウンでこうした事件を長年扱ってきた弁護士ステイシー・ヴァン・マルデン氏は、捜査官は偽造品事件を刑事事件として立件する代わりに、路上での偽物の販売を主張する軽微な違反者を標的にしたと指摘。「偽造品流通を阻止するのが目的なら、輸入を阻止すべきだ。輸入元は別の場所にある。キャナルストリートではない」とヴァン・マルデン氏。今回の摘発は、偽造品取引を口実に移民取締りを強化したものだと断言。「行政機関の方針はかつて『偽造業者を街から一掃し、大企業を満足させよう』というものだった。今では『大規模な移民摘発を行い、大統領を喜ばせよう』という方針に変わった」と述べた。

ICEのトッド・ライオンズ代理局長は22日、ICEは今後、市内5区で活動を大幅に拡大すると表明。同氏はFOXニュースに対し「われわれが犯罪者を逮捕し、ニューヨークが安全を取り戻す姿を見ることになるだろう」と語った。

                       
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